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横浜―清峰 3回裏清峰2死、佐々田は右前安打を放つ
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あと一歩、優勝旗には届かなかった。4日の選抜高校野球大会決勝。清峰は横浜(神奈川)に敗れた。大舞台の重圧があったのか。0―21の大敗だった。だが、長崎県勢の準優勝は、90年を超える高校野球史上初めてだ。「よく頑張った」「胸を張って帰ってこい」。街で、学校で、甲子園で。昨夏の「旋風」を超えた球児たちに、喝采が鳴り響いた。
◎…好機に、あと一打が出ない。もどかしい試合展開の中で、清峰は流れをつかめずに終わった。
3点を先制された直後の2回裏。先頭の木原が二塁打で出塁。四球と犠打で1死二、三塁と反撃の糸口をつかみかけた。だが、続く田辺と池野が凡退。相手投手の変化球にタイミングを外された。
準決勝まで、清峰打線は徹底した直球狙いで、好投手を次々と打ち崩してきた。しかし、この試合では、勝負どころで相手投手の多様な変化球に打ち取られた。
甲子園で初めての無安打に終わった5番佐々木伸は話す。「思った以上に相手投手の変化球の切れが良かった。研究されてるな、と思った」
相手の堅い守備にも阻まれた。
3回裏2死一、二塁。木原が甘いフォークを右にはじき返したが、相手二塁手にダイビングキャッチされ、得点につなげることができなかった。
木原は言う。「相手のプレーをさせてしまい、自分たちの野球ができんかった」。試合の流れは完全に横浜に傾いた。清峰に守りのミスが出始める。
6回、無死一、三塁で有迫が一塁に絶妙のタイミングで牽制(けんせい)球を送った。逆をつかれる走者。だが、一塁手山辺が後逸し、三塁走者の生還を許した。
打線が封じ込まれ、守りにも乱れが出た清峰。本来の野球を取り戻すことは最後までできなかった。
◎…連投のエース有迫は立ち上がりから切れがなかった。準決勝までの4試合で計570球。疲労の色は隠せなかった。
ボールが先行し、「打たせて取る」つもりの球が甘く入る。ことごとく外野にはじき返された。3回途中で降板する。
リリーフの富尾も勢いに乗った横浜打線を止められない。結局、計4人の投手をつぎ込んで被安打14、与四死球17。走者をためては、適時打を許し、失点を重ねた。
よもやの大敗に、試合後しばらくぼうぜんとしていた主将の広滝はこう語った。「すべてで上を行かれた。守っていても、抑えられる気がしなかった。夏までに最後まで戦える体力を身につけたい」
越えられなかった最後の壁。清峰の新たな挑戦が始まる。
◆学ぶところ多かった(清峰・吉田洸二監督)
点差以上に学ぶところが多かった。横浜は、今まで当たったチームと違っていた。選手たちは準優勝したからと言って生意気になったり、威張ったりすることなく、この経験を人生でプラスの方向に生かしてほしい。
◆楽しんで戦い抜いた(清峰・広滝航主将)
横浜の力を見せつけられた。点差が開き、つらい試合展開になったが、チームのみんなとは、最後まで楽しんで戦うという気持ちで一致していた。体力と精神力を鍛え直し、夏も甲子園の舞台に帰ってきたい。