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主戦・尾藤竜一君 豊富な練習、自信裏打ち

2006年03月30日

写真

力投する岐阜城北先発の尾藤君

 7回表、2死満塁の危機。岐阜城北の尾藤竜一君は、「C」の人文字が浮き上がる智弁和歌山のスタンドを横目に、マウンド上で両肩を何度も回し、一球ごとに大きく息を吐いた。

 2点リードはしている。だが、相手は強打で鳴る智弁和歌山打線。

 カウント2―1。「気力で投げた」5球目。打球はふわりと上がり、ファウルグラウンドで構えた一塁手の中島直也君のミットの中に入った。

 尾藤君は3回表、智弁和歌山に6得点を許してしまう。三つの死球。味方のエラー。フォームが崩れ、直球の制球がばらついた。

 この時、尾藤君の頭の中には、昨秋の明治神宮野球大会の苦い思い出がよみがえった。初戦の早稲田実業戦。6失策で自滅した。尾藤君も11本の安打を浴びた。8回コールド負け。

 「ずるずるいくんじゃないか」。この大会2試合目のマウンドで、尾藤君はそんな不安に駆られた。怖かった。

 そんな気持ちを、仲間がその裏の攻撃で振り切ってくれた。打者9人の猛攻を見せ、6長短打で一気に同点。尾藤君も自ら二塁打で2打点を挙げた。

 尾藤君はこの冬、100球以上の投げ込みを続けた。前の冬は、30球ほど。早実戦での悔しさが、気持ちを前へと向けた。筋力トレーニングにも力を入れ、下半身を強化。連投に耐えるスタミナをつけた。

 自分たちの力で危機をはね返した3回の攻撃。自分に課した豊富な練習量。こうした要素が裏打ちとなって、7回の危機を冷静に乗り越える自信につながっていた。

 捕手の水川真之介君は、マウンドに立つ尾藤君を「堂々としてとても大きく見えました」と言った。藤田明宏監督も「頼もしく成長した。集中力を切らさず、我慢強く投げてくれた」。

 仲間がエースを成長させ、エースが仲間を支える。

「全員野球ができました」。試合後、笑顔で話す尾藤君の帽子のつばの裏には「必死・信頼・前向き」の言葉と、チームの仲間一人一人の名前が黒いフェルトペンで書かれてあった。


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