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「一丸になれた」涙なく 9回に適時打、安藤選手

2006年03月28日

 球速140キロを超える本格派の相手投手を前に真岡工は毎回の16三振を奪われ、それまで零封されていた。9回2死、走者を二塁に置いて、安藤貴大(たかひろ)選手のバットは直球をたたいた。

 昨秋の公式戦、安藤選手の打率は5割1分7厘。チームトップだった。この冬、泥だらけになりながら、4トントラックのタイヤを引っ張って走り込んだ。夜10時過ぎまで自主練習を重ねた。練習用の帽子の裏にマジックで「全員野球」と書き込んだ。

 対PL学園戦4回、岡本学選手がファウルで粘り、相手投手に14球投げさせた。安藤選手が真岡工打線の初安打を記録したのはその直後だった。「岡本が前で粘ってくれたので打ちたかった」

 初ヒットを生み出した岡本選手―安藤選手の打順が土壇場、9回2死の場面でめぐってきた。9点のリードを許し、走者なし。

 ベンチからは「思い切っていけ」「一点取るぞ」とひときわ大きな声が飛んだ。

 岡本選手の打球は遊撃手の前に転がった。「何が何でもつなげよう」という全力疾走が相手の悪送球を誘った。岡本選手は2塁に到達した。

 安藤選手は「1本で岡本をホームにかえす」と打席に入った。初球。直球が内角に入ってきた。自然と体が動いた。打球は内野手の頭を越えた。「落ちろ」と安藤選手は祈りながら走った。一塁ベースを踏んだとき、大声援が耳に入った。

 甲子園初得点だった。巨大な甲子園球場が沸き返った。「もう1点!」とチームは活気を取り戻した。

 「最後は一丸になれた」。安藤選手の目に涙はなかった。


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