グラウンド横の部室の外壁に、ひときわ目立つ「全国制覇」の手書きの文字。04年秋に掲げて始まった意識改革が、21世紀枠での出場として実を結んだ。
春夏計7回目の甲子園は75年の夏以来になる。春は53年ぶりだ。公立の古豪復活は、「精神面の成長」と山田監督は言う。03年に就任してから、2年続けて秋季北信越大会出場の手前で敗れた。力はあるが一歩足りない。そこで掲げたのが壁の4文字だ。練習後、一列に並んで行う黙想もそのときから。「優勝とか、勝つことを念じろ」と命じた。
県内有数の進学校で平日の練習は2時間程度。時間を有効に活用しようと、ウオーミングアップの一部に緩い球を確実に転がすバントと走塁を交えたり、守備前のボール回しは塁間より約5メートル離れて強くて正確な送球を磨いてきたりした。「派手なプレーはいらない。確実に」がモットーだ。
昨春の選抜を制した愛工大名電など、有力校との練習試合を重ねたのも飛躍のきっかけ。昨秋は最速141キロ右腕の太田を柱に、35年ぶりに県大会で優勝。北信越大会は4強に入った。秋の公式戦で打率5割3分6厘の4番藤田は「県外の強豪とやることで、県内では負けない自信を得た」。
例年にない大雪で、2月20日過ぎまで約2カ月間、体育館や廊下で練習を重ねてきた。選手はいま、屋外ではじけるように白球を追い、大舞台を待っている。
主将の太田は「21世紀枠だけれど、実力でも劣らないところを見せたい」。甲子園での勝利は75年夏の1勝。ユニホームの胸には「SAKURA」の文字。甲子園で咲かせるか。