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8回表関西2死満塁、安井を三振に打ち取りガッツポーズの駒大苫小牧の田中 |
神宮に駒大苫小牧の歓喜の輪が広がった。人さし指を突き上げる選手たち。中心にいたのは、前の2大会と同じ右腕の田中だった。
田中は12日の1回戦から4連投。疲れが見えた。球速は最高149キロをマークしたが、変化球が高めに浮いた。7安打を許し、得点圏に4度走者を背負った。それでも粘り切ったのは、自分の投球パターンに絶対の自信があるからだ。
8回、2死から失策をきっかけに満塁とされた。打席はそれまで2安打の安井。低め直球で追い込むと、外角のスライダーで空振り三振に打ち取った。この試合11三振を奪い、全4試合に2けた奪三振。「点をやらないことだけを意識した」と胸を張った。
課題だった好不調の波が消えた背景には、主将になったことがあった。全国選手権2連覇のチームを前主将の林から受け継ぎ、自覚が増した。香田監督は「しんどいはずなのに、ベンチでも率先して声を出す。その闘争心がチームに乗り移っている」。
2本塁打で援護した奥山も「投手が頑張っているから、打線もこたえないと」。今夏の甲子園の主力で残ったのは田中、本間、鷲谷だけだが、主将を中心にまとまる姿は、先輩たちと同じだ。
夏の甲子園に向けた南北海道大会の地区大会から始まった公式戦連勝は、国体を含め「29」に伸びた。「3冠といっても、自分たちで優勝したのは神宮だけ。まだ満足していない」と田中は来春に目を向けた。