駒大苫小牧の部長に続き、全日本高校選抜チームのコーチにも暴力行為が発覚した。高校野球を代表する指導者にまで暴力がはびこる現状に、日本高野連の危機感は強い。
もう一つの問題は、大会前に明らかになった明徳義塾の不祥事を含め、いずれの事件も関係者に隠蔽(いんぺい)体質が疑われることだ。報告遅れの理由として、事件の当事者はしばしば「大会を控えた選手のため」と説明する。
だが、実際は「温情」がより厳しい処分につながっていることを考えれば、選手のためにも速やかな報告が求められるのは明らかだ。学校関係者の無用な不安を解消するためにも、日本高野連も処分の規約、前例を理解してもらうよう努めるようにして欲しい。
高校野球の不祥事は、日本高野連が審議しただけでも昨年度、過去最多の493件にのぼった。背景の一つに、大規模チームの増加が考えられる。
高野連の調査によると、全国で100人以上の部員を抱えるチームは今年5月末時点で、昨年より10校増の64校あった。明徳義塾は129人、駒大苫小牧も97人の部員がいた。グラウンドだけでなく、私生活にも目を配る監督、部長はより高い指導力が求められる。
その一方、周囲の責任も無視できない。甲子園のベンチ入りは18人。多くの選手が補欠に回るチームでは、親やOBらによる精神的サポートが欠かせない。部活動は教育活動の一環だとの見地をふまえ、過剰な期待や介入は排除し、厳しくも温かい目で見守ることが、問題を未然に防ぐことにもつながる。