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「打倒興南」迫る4校 担当記者が49代表を分析

2010年08月05日

 第92回大会は7日に開幕し、阪神甲子園球場を舞台に15日間の熱戦が始まる。今年も地方大会には約4千校が参加した。激戦を突破した49代表の実力を、取材にあたった4本社スポーツグループの担当記者が探った。

写真2年ぶりの優勝を決め、喜ぶ広陵の選手たち=マツダスタジアム、青山芳久撮影
写真大阪大会 近大付―履正社 2回裏履正社2死一、二塁、出口は中越え適時三塁打を放つ。捕手川南貢、投手森本賢=舞洲、竹花徹朗撮影
写真優勝を決め、喜ぶ中京大中京の選手たち=30日午後、岡崎市の岡崎市民球場、遠藤啓生撮影
写真東海大相模―横浜 8回裏の守りの前に福山亮主将(左)、大城卓三捕手(右)と話をする一二三慎太投手=横浜スタジアム
写真奈良大会 優勝を決め、観客席に駆け出す天理の選手たち=佐藤薬品スタジアム、諫山卓弥撮影
写真西東京大会・早稲田実―日大鶴ケ丘 日大鶴ケ丘に完封勝ちし、甲子園出場を決めて喜ぶ投手鈴木=西畑志朗撮影
写真優勝を決め、マウンドに集まる延岡学園の選手たち=30日、サンマリン

■頂点へ有力−−広陵・履正社・中京大中京が安定 東海大相模、カギは一二三

  選抜優勝校・興南の充実ぶりが伝わってくる。沖縄勢初の選手権大会優勝、春夏連覇の可能性はどのくらいあるのだろう。

  夏の頂点だけを狙い、実力を増してきた。島袋に続く投手育成も順調で、春の九州大会は島袋がほとんど投げないで優勝した。選抜と比べると、エースの負担は軽くなりつつある。

  沖縄大会6試合で3失点。準決勝など3試合はコールド勝ちで、決勝は8点差の圧勝だった。投手力はもちろん、積極的かつパワフルな打撃も、他チームの脅威だろう。少々ストライクを外れた球でも、思い切って振ってくる。

  代表決定から約2週間。怖いのは気の緩みだけかな。5月には、野球部の規則を破った部員が練習参加を禁じられたことがあった。ただ、「なんくるなくない野球」を掲げる我喜屋監督だけに、精神面の指導も心得ているはずだ。

  対抗はどこかな。選抜4強の広陵は投打にバランスがとれているね。

  エースの右腕有原が故障明けなのは気になるけど、広島大会の準決勝と決勝では球速140キロ台を連発していた。控え投手の上野と川崎にも力がある。広島大会で4安打だった4番・丸子が調子を上げてくれば、怖い存在になりそうだ。

  49校の最後に出場を決めた履正社もまとまっている。平良、飯塚の両右腕をしっかり使い分けてきただけに、長丁場の大阪大会を制した直後でも、体力の消耗を最小限にして本番に臨めそう。派手さはないが、小技もうまいし、試合巧者だ。

  夏の2連覇がかかる中京大中京は全国最多の188校が参加した激戦区を制し、4季連続の甲子園。エース森本や捕手の磯村など、甲子園経験者が多いのは強みになると思うけど。

  打線のすごみは去年のチームに譲るが、伝統の守りは堅く、愛知大会6試合で3失策。大藤監督が最後の夏であることも、チームの結束をより強固にしている。

  激戦区といえば、神奈川を制した東海大相模はどうだろう。春に比べ打線が力強くなった印象だ。

  強いよ。でも、夏は33年ぶりという現実に多少の不安も見え隠れする。一番の要因は、横手投げに転向した右腕一二三(ひふみ)だね。急造の感は否めず、左打者の内角を十分に突けていない。個々の能力の高さは皆が認めるところで、エースの成長が「打倒興南」のカギを握っている。

  戦力充実の興南を追う4校か。この5校が優勝争いの中心になりそうだね。

■上位うかがう−−報徳学園・北照、夏へ充実 天理、打率4割超 集中打の早実

  他にも上位を狙える実力校が多そうだ。

  報徳学園はチームとしてまとまりがある。春の近畿大会を制したが、その後もさらに勝負強さを増して、春よりずっといいチームになった。

  打者の振りが鋭いね。兵庫大会準決勝では今春の選抜に出場した神戸国際大付の右腕岡本、左腕大川という好投手を攻略した。強肩の遊撃手、長谷場を中心に、守備も堅実だ。

  いつも強打のイメージがある智弁和歌山は6年連続出場。ただ、和歌山大会は7人もの投手を使うなど苦しんだみたいだね。

  軸になる投手がいないのは確か。それと、智弁和歌山は例年、大会前の猛練習で一度追い込んでから調子を上げていくんだが、今年は暑さの影響で疲れが抜けきらないまま大会に入った、と高嶋監督が言っていた。苦しんできた分、しぶといチームになっているかもしれない。

  近畿勢では天理もいい。主戦の左腕沼田がチェンジアップを使えるようになって安定した。

  森川監督は内外野を大幅にコンバートし、攻撃的なチームをめざすと言っていた。チーム打率は4割を超え、狙い通りの打線ができたようだ。

  全国制覇以来、4年ぶりに戻ってきた早稲田実の打線もボールをしっかり見極め、たたみかける集中力がある。投手2枚看板のうち、小野田は野手になったが、この夏に「1」をつける鈴木が西東京大会決勝で5安打完封するなど、粘り強く投げている。

  聖光学院も勝負強いよ。春の東北大会は決勝で仙台育英に勝って優勝した。福島県内の公式戦は51連勝中で、4年連続で代表になった。負けられない重圧のなかで結果を出し、選手が自信をつけている。

  今春の選抜8強の北照はエースの又野が南北海道大会で4本塁打を放つなど投打に活躍した。選抜は右手親指のけがで不本意な結果に終わっただけに、雪辱にかける思いは強い。

  成田の中川、開星の白根の好投手2人も、チームを上位に押し上げる力がある。中川は球速140キロ前後だが見た目以上に球威がある。白根は気持ちが強い。選抜では四死球から崩れたが、走り込みで制球難を解消した。2年生であの力強い球はなかなか投げられないよ。

■好投手そろう−−福井商・大分工、140キロ超す速球

  他にも好投手は多いね。

  前橋商の左腕野口は、球速はそれほどでもないけど、群馬大会で39回3分の2を投げて5四死球と制球力が抜群だ。

  南陽工は昨春の選抜で8強入りの原動力になった右腕岩本が文字通り一回り大きくなった。体重を10キロ以上増やした成果で、球速は140キロを超え、直球の威力が増している。

  12年ぶり出場の八戸工大一の中山も、キレのいい直球が武器。制球もいい。青森大会5試合で2失点と安定している。20回目の夏になる福井商のエース長谷川陽は140キロ台後半の直球と緩いカーブの組み合わせで三振が取れる投手だ。

  奪三振なら大分工の田中も負けていない。150キロに迫る直球とスライダーで、大分大会初戦では17三振を奪った。マウンド度胸も抜群だ。鹿児島実の左腕2人もあなどれない。2年生の野田は4試合に登板して無失点だし、3年生の用皆(ようかい)の投球は粘り強い。

  2年連続出場の常葉橘の長谷川は静岡大会の6試合をほぼ1人で投げ抜いたスタミナがある。

  打撃が看板のチームはないのかな。

  仙台育英は宮城大会決勝で28得点の破壊力を見せた。打率7割を超える庄子と、5割超の佐々木が下位を打つんだから、打線の層は厚い。

  北大津の4番・小谷もいいよ。滋賀大会は10四死球。まともに勝負してもらえないなかでも、打率5割と打った。

  6年ぶりに登場する明徳義塾はどうかな。

  今年は守りのチームだね。岩元、前田、山田の3投手を中心に、高知大会は1失点。守備もよく鍛えられている。

  10年ぶりに出場する九州学院は1年生の萩原が4番を打つなど1、2年生中心のチーム。勢いに乗れれば面白そうだ。

  対照的なのが関東一かな。昨年からのメンバーが9人残り、チームとしての成熟度が高い。東東京大会決勝で終盤に4点差をはね返すなど、粘り強いよ。

■好チーム−−長崎日大・本庄一、堅実さ光る

  初出場校にも楽しみなチームがあるね。

  今春の選抜に21世紀枠で出場した山形中央は、投打に目立った穴がない。春の経験が大きいんだろう。春夏通じて初出場になるいなべ総合は左右の2投手が柱。左腕の岡部は打撃センスもある。

  松本工はプロも注目する本格派右腕の柿田が鍵を握っている。スライダーのキレがいいよ。

  連続出場校はどうかな。

  2年連続の長崎日大は2007年夏に4強に導いた金城監督のもと、堅実な野球で接戦を制してきた。

  3年連続出場になる倉敷商の右腕島田は球の出どころが見にくい。打者は打ちづらそうだ。

  連続出場を阻んだチームの地力も評価したいね。新潟明訓は昨夏準優勝の日本文理に打ち勝った。敵失など相手のスキを逃さない攻撃が光る。昨夏4強の県岐阜商に競り勝った土岐商は、しぶとく先取点を取り、流れをつかむのが得意だ。

  ほかにも、激戦区を勝ち抜いてきたチームは軽視できない。

  本庄一はコツコツつなぐ攻撃で、浦和学院や花咲徳栄に粘り勝った。地力がある証拠だろう。

  宇和島東はノーシードから勝ち上がり、決勝は上甲元監督が率いる済美との接戦をものにした。京都外大西はバントや盗塁を絡めた攻撃が目立つ。2年生中心で、勢いに乗ったら面白い存在になりそうだ。

  2年生といえば、連投でチームを引っ張ったエースがいたね。

  西日本短大付の左腕森のことかな。直球は120キロ前後だけど、制球が良く、福岡大会7試合を1人で投げきった。九州では佐賀学園の3年生右腕峰下も佐賀大会5試合を1人で投げた。準決勝まで自責点ゼロ。ピンチでひるまない精神力で要所を締めてきた。

  2年生投手なら、遊学館の右腕土倉も速球に力があるよ。

  口蹄疫(こうていえき)に揺れた宮崎では延岡学園が勝ち上がった。対外試合のできない間、鍛え上げた守備がものを言った。

■旋風に期待−−強打の英明 粘り強い能代商

  創部6年目で初出場する英明は強打のチームと聞いたけど。

  グラウンドが狭いため、守備より打撃に練習時間を割いてきた。2年生の4番・中内は打率5割7分1厘で長打力もある。同じ初出場の水城も打撃が売り物だ。1年生が3、4番を打つ若いチームで、水戸商を率いて春夏の甲子園に計7回出場した橋本監督が指揮する。

  砺波工も初出場だ。けがのエース健名(けんめい)の代役として春から投手になった遊撃手の中山が急成長した。守備も固いよ。

  東日本からは懐かしいチームも名乗りを上げた。

  30年ぶりの日川は右腕古屋を中心とした守りのチーム。25年ぶりの能代商は秋田大会6試合中5試合を逆転勝ちした粘りで、秋田勢として13年ぶりの初戦突破に挑戦する。

  ほかに旋風を巻き起こせそうなチームは。

  旭川実の左腕鈴木は1年秋からエースとして経験を積んだ強みがある。一関学院は選抜出場の盛岡大付を岩手大会決勝で破った。エースの左腕高橋は直球とフォークがいい。

  鳴門は徳島大会決勝で、昨秋から県内の公式戦で負けなしだった小松島に勝った。コンバートで守備力が上がっている。

  佐野日大はノーシードから宇都宮工、作新学院などを破ってきた。監督35年目、春と合わせて9回目の甲子園となる松本監督の手腕に期待したい。

  八頭はエースで4番の上川が中心。機動力も持ち味だ。

     ◇

■座談会出席者

東京本社  坂名信行

名古屋本社 岡田健

大阪本社  井上明、山下弘展

西部本社  木村健一


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