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ライバルに快音許し 和歌山大会

2010年07月18日

 1点リードされたまま迎えた9回。日高中津の左腕のエース浜矢広大(こうだい)(3年)は、1死一塁で近大新宮の4番新家(しんや)敏之(3年)を打席に迎えた。

写真力投する日高中津の浜矢広大投手

 カウント2―2のあと2球続けてファウル。決め球に浜矢はインコースの直球を選んだ。だが、狙いより真ん中に。次の瞬間、新家が振り抜いた打球は快音を残してセンター前に落ちた。一塁上でガッツポーズする新家。このあと浜矢は二塁打を浴び、一挙に2点を失った。

 「新家君に打たれると相手を勢いづかせる」。浜矢が一番恐れていた展開になった。

 浜矢は昨夏まで一塁手だった。投手に転向させたのは細峪規良(ほそざこ・きりょう)前監督。同期に投手が少ないことから、185センチと体の大きな浜矢に期待を掛けた。ひと冬越えて直球とスライダーの切れ味に磨きがかかり、エースとしての安定感を増した。

 昨年12月、県内の高校選抜野球チームの一員としてシンガポール・香港遠征に参加。そのホテルで相部屋となったのが、新家だった。互いに野球のことを語り合い、打ち解けた。だが2人は別チームのエースと4番。「夏の大会は当たりたくないな」と言い合った。

 両チームの練習試合が6月にあった。この時は浜矢の直球がさえ、近大新宮打線を2点に抑えて日高中津が勝った。新家は夏に向けて「浜矢対策」として、左投手相手の打撃練習を繰り返した。

 この日、浜矢は制球が安定しなかった。新家への四死球2を含めて5四死球を与えた。「緊張のために腕が縮こまっていた」と浜矢。島和也監督(28)がベンチで「力を抜いて落ち着いて投げろ」とアドバイスしたが、緊張は最後までほぐれなかった。

 日高中津は9回裏の攻撃で1点差まで詰め寄ったが、最後はショートフライで試合終了。浜矢は本塁前で整列してあいさつした後、新家に握手を求めた。「甲子園に行けよ」。「ありがとう」。新家は笑顔で応じた。ベンチに戻った浜矢の目から急に涙があふれ出した。(楢崎貴司)


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