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3回表、打席に入る開成の古垣主将 |
将来の夢は「東京大学で野球をすること」。
開成のリードオフマン(先頭打者)、古垣弘人主将が4安打2打点と奮起した。
8回表の5打席目。古垣君の打球は、外野を転がり、三塁打となった。今大会4本目の長打。それでも、「きちんと『正面』にきてたらレフトスタンドに入ってたはずです」と言い切った。
「真上から見たときに、ボールの軌跡に対してバットが90度になるよう、後ろからたたくんです。これを『正面衝突』って言ってます」
「正面衝突理論」は開成の猛進撃を読み解くキーワードだ。
「金属バットと硬球なんだから、正しく当たれば外野を越える」。青木秀憲監督が日々の練習で何度も口にする理論を、同じように熱く語る。
全国有数の進学校。部員のほとんどが塾通いで、古垣君自身も週2回通う。一方で、グラウンドでの全体練習は週1回しかない中、打撃力アップに力を入れた。
「打ち勝つのが僕らの野球。連係プレーの練習はほとんどやったことがありません」
全体練習ではキャッチボール程度。走塁の感覚は他校との練習試合の中で身につけるという。
野球はワンプレー、ワンプレーの間隔があくスポーツ、というのが青木監督の口癖。「だからこそ、頭を使って次のプレーの予測をしろ」
そのアドバイスは、古垣君の「判断のさえ」となって試合に表れた。6回、左前安打で出塁し、二塁に進むと、相手投手が暴投した。捕手の後ろに転がるボール。三塁に進んだ後も、もたつく捕手の動きを見極め、一気に本塁を突いた。
8強入りをかけた戦いは、第1シードの国士舘が相手。「一(いち)か八(ばち)かで強く振るだけです。挑戦者なんで」