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(Timely)上を向こうとする球児たち 安藤嘉浩

2020年5月23日05時00分

 都立東大和高校は、夏の高校野球の西東京大会で1978年と85年に決勝に進出し、「都立の星」と呼ばれた。チームを指導した佐藤道輔監督(故人)は「日々練習するグラウンドにこそ甲子園の心がある」と選手に説いた。

 今年の高校球児は新型コロナウイルスの影響で思うように練習できない状態が続き、夢の甲子園を目指す第102回全国高校野球選手権大会の中止も20日に決定した。

 心の整理もつかない中で、それでも上を向こうとする球児の姿に心を打たれる。黒沢尻工(岩手)の畠山夢叶(はたけやまゆめと)選手(3年)は「大会がなくなっても、うまくなりたいから今日も練習します」と言った。明豊(大分)の布施心海(しんかい)選手(3年)は「悔しい気持ちは残るけど、どんな形でも最後まで野球をやりきりたい」と報道陣の取材にこたえた。

 佐藤さんの考える「甲子園の心」がきっと、彼らの中にも宿っている。

 自粛生活が続く中で、川和(神奈川)の宮嶋丈留(たける)選手(3年)は「みんなで野球ができるって幸せなことだったんだ」と思ったという。近くに住む仲間で集まって練習したが、物足りない。中川達也投手(3年)は「とにかく全員でユニホームを着て野球がしたい」と言った。

 佐藤さんは著書「甲子園の心を求めて」(報知新聞社)に、こうも記している。

 「勝つことは本当にむずかしい。だが立派に負けることは、もっとむずかしいのではないか」

 夏の高校野球は、壮大なトーナメントだ。全国の頂点に立つ1校を除く約3800校が、必ず1回ずつ負けを経験する。

 今年の球児は残念ながら、同じ大会で、立派に負けることはできなくなった。

 それでも、それぞれの地域で実情が許せば、夏に大会や試合ができる可能性はある。各都道府県連盟が独自の大会を検討し始めている。

 先輩とは違う経験をし、みんなで野球ができる幸せを知った球児たちだ。少しずつ練習が再開し、試合もできるようになれば、ものすごく濃密な時間を共有できるはずだ。

 そして、最後に球場やグラウンドを去る日、「ありがとうございました」と立派にあいさつするときが必ず来る。決して不戦敗じゃない。2020年の夏は、これからだ。(編集委員)

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