二松学舎大付が帝京にコールド勝ち 原動力は背番号7の左腕・祖父江
(17日、秋季東京都高校野球大会1次予選 二松学舎大付8―0帝京)
屈指の好カードに、急きょ会場を変更した江戸川区球場は、立ち見客が出るほどの盛況ぶり。七回コールドで本大会に駒を進めたのは、二松学舎大付だった。
勝利を引き寄せたのは、背番号7の左腕・祖父江広都(2年)の投球だ。
球速は130キロ台ながら、緩急をつけて打たせて取る投球が持ち味。コントロールには自信があるが、「今日はよくなくて……。でも、逆にいいところにいって、打ち損じてくれた」。強打の帝京打線を散発2安打に封じた。
今夏の東東京大会で登板はゼロ。3回戦で堀越に敗れ、5季連続の甲子園出場も逃した。
でも、いつもより短い夏だった分、時間がたっぷりできた。「練習試合はきつくて……。20試合くらい。もともと気持ちは強くない方だったけど、精神的にも強くなった」。この夏の経験が、ライバルとの大一番で生きた。
三つ上には、甲子園でも活躍した秋山正雲(現ロッテ)がいる。インコースに投げられる強気の投球は理想だ。そんな憧れの左腕から、「おれのをあげるよ」と、グラブをもらった。大事な試合や、ここ一番という時に使ってきた。
でも、今日は寮の部屋に置いてきたという。
「目標は選抜出場です」。1次予選を突破し、まずはスタートラインに立ったばかり。先輩から受け継いだ宝物のグラブ。出番がくるその日まで、大切にしまっておくつもりだ。(野田枝里子)