慶応新チーム初の公式戦 新主将が連続本塁打も「まだ適正打順が…」
(10日、秋季神奈川県高校野球大会2回戦 慶応22―1舞岡)
8月の第105回全国選手権で107年ぶり2度目の優勝を果たした慶応が、新チーム結成後、初となる公式戦に臨んだ。新主将の5番・加藤右悟(ゆうご)の2打席連続本塁打などで大量22点を奪い、5回コールド勝ちした。
8月23日の全国選手権決勝で先発した2年生は2人。ほとんどが入れ替わり、この日は選手権ではメンバー外だった6人が先発に名を連ねた。
フレッシュなチームを引っ張るのが、前チームから中軸を任される強打の加藤だ。
この日は1点を先取した直後の一回1死一、三塁で右打席に入ると、緩い球をぐっとこらえてスイングし、左翼への3ランとした。二回にも再び左越えのソロを放った。
加藤はこれまで外野手の起用が多かったが、いまは本来のポジションである捕手を務める。
加藤のほか、夏もエースだった右腕・小宅(おやけ)雅己と選手権の決勝で先発した左腕・鈴木佳門が残り、バッテリーを中心に戦力は充実する。
ただ、新チームの始動は県内のほかのチームに比べ1カ月ほど遅い。練習試合では負け越しているといい、「まだ適正打順がわからない状態」と森林貴彦監督は話す。選手たちには「もう一回チャレンジ。戦いながら強くなっていこう」と呼びかけているという。
大勝でスタートを切ったが、加藤は「小宅と鈴木だけじゃ勝てないし、打線もいきなり先輩たちみたいにボコボコ打つのは無理」と冷静だ。
練習ではキャッチボールの時間を長くとるなど、「基本に立ち返る」ことを意識しているといい、「フライでも全力で走るとか、ミスにつけ込むとか、やることをしっかりやっていきたい」と話す。
3日前。前主将の大村昊澄(そらと)に焼き肉に誘われ、「主将がやるべきことをやれば、みんなついてきてくれる。チームは主将で変わる」と励まされたそうだ。
この日の取材で「主将の重みは感じるか」と問われると、右袖の主将マークを触りながら、「まだ全然。それを感じるのはこれからです」と言った。(大宮慎次朗)