「運」「勢い」「準備」 甲子園Vの慶応監督が語った三つのポイント
9日に始まる神奈川県高校野球秋季大会を前に、慶応の森林貴彦監督が県内各校の部員らを前に講話した。107年ぶりの優勝を果たした夏の甲子園を振り返り、「運」「勢い」「準備」の重要性を語った。
講話は7日、秋季大会の組み合わせ抽選会後に行われた。
まず「運」に関して、2回戦からの出場で比較的疲労度が低かった点、3回戦・広陵戦では同点に追いつかれてもタイブレークまで粘り、十回表で3点を追加して勝てた点、決勝で丸田湊斗選手が放った先頭打者本塁打の場面では、風向きにも恵まれた点を挙げた。
「勢い」は、神奈川大会から好投手を打ち崩してきたことで生まれたと話す。横浜との激闘を制し、甲子園では東恩納(ひがしおんな)蒼投手(沖縄尚学)らと対戦したことで、決勝で湯田統真、高橋煌稀(こうき)両投手(仙台育英)が出てきても慶応の選手らは物おじしなかったという。
そして「試合の日の前にやることは終わっている」と「準備」の大切さを強調した。
冷たい水と熱いお湯に交互に入って血行を促進する交代浴や、睡眠時間の確保といった疲労回復法のほか、熱中症対策として、体の深部体温の上昇を検知して音と光で知らせる腕時計型端末、体内温度を下げるシャーベット状飲料を紹介した。
今大会から導入された五回終了後の10分間のクーリングタイムも準備をして臨んだ。甲子園入りした後も敵将にアドバイスを求めるなど最善策を模索し、5分間は水分補給や着替え、3分間でミーティング、残りはグラウンドに出て六回表の攻守を想定して体を動かす練習をした。
さらに、対戦校分析の一環で、宿舎の一室にバックネット裏からの映像を映し出し、選手らは素振りをして相手投手の投球フォームやタイミングの取り方の感覚をつかんだ。
森林監督は「特別なことはしていない」とした上で、「準備をしっかりして、当日は思いっきりやるだけだという感じにして臨む方が良いパフォーマンスにつながる」と話した。
最後に「ライバルであるみなさんとこれからも競い合って頂点をめざして頑張りたい」と語りかけ、マイクを置いた。(手代木慶)