逃さなかった相手のミス 馬淵監督が「理想的な勝ち方」とほめた攻め
野球の第31回U18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)は7日、台北で決勝ラウンド(R)が始まった。前日から継続試合となったプエルトリコ戦に勝利した韓国が1次リーグ(L)A組2位に。その後、B組2位の高校日本代表はダブルヘッダーの韓国と対戦し、7―1で快勝した。A、B組とも1次L上位3チーム間の戦績が持ち越されるため、米国に勝ち、オランダに敗れた日本は通算成績を2勝1敗とした。
二回に知花慎之助(沖縄尚学)が先制の2点三塁打を放つと、六回はチーム初本塁打となる山田脩也(仙台育英)のソロなどで4点を加えた。先発・前田悠伍(大阪桐蔭)は4回を被安打1で無失点に抑えた。
日本は8日にプエルトリコ(A組3位)、9日に台湾(同1位)と対戦する。
■「理想的な勝ち方」
相手のミスを逃さなかった。
二回に先頭の森田大翔(履正社)が振り逃げで出塁し、1死から丸田湊斗(慶応)の内野安打と暴投で二、三塁とした。ここで右打席に入ったのが、7番知花慎之助(沖縄尚学)だ。
ベンチから出た直後、馬淵史郎監督から呼び止められた。指示は「決め球にしている内角の直球を狙え」。4球目、相手左腕が投じた内角の145キロをしっかり振り抜き、左翼手の頭上を越える2点三塁打を放った。
今夏の甲子園で1番打者として活躍した知花が下位に座る日本打線。「下位でも自チームと変わらず、後ろにつなぐことを考えていた」と知花は胸を張った。
2点差に詰められた六回は山田脩也(仙台育英)がソロを放ち、指揮官は「3―1と4―1じゃ全然違う。すごい大きな一発だった」とべた褒め。山田は「自分が本塁打を打つなんて、みんな思ってなかったと思う」と笑いを誘いつつ、「チームに勢いがついた」とうなずいた。
日本の対戦相手は、この日の午前中に行われた韓国―プエルトリコの試合が終わるまでわからないという異例の状況だった。勝者の韓国と対戦が決まったのは、日本戦が始まる約4時間前。ダブルヘッダーの相手に対して日本は有利な状況で、落とせない一戦を確実にものにした。
期待に応えた選手たちについて、馬淵監督は「投手がしっかり抑えて、打者は打つべき人が打ち、ミスを突く。理想的な勝ち方だった」とたたえた。
打線がつながった一方で、「そんなに続けてヒットは打てない」と冷静だ。「そうなると四球と野選、失策でしょうね。そこをどうやって突いていくか」と改めて気を引き締めた。(台北=室田賢)