馬淵監督が「12万8千人の代表」と信頼 大阪桐蔭・前田の観察眼
野球の第31回U18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)は3日、台北などで第4日があり、1次リーグB組の日本は前回優勝の米国に4―3で競り勝ち、開幕3連勝とした。先発の前田悠伍(大阪桐蔭)が六回途中まで被安打4、無失点と好投した。打線は一回2死一、二塁で森田大翔(履正社)の2点三塁打で先制し、六回は寺地隆成(明徳義塾)の適時二塁打で加点。4投手の継投で逃げ切った。
■「ぐずぐずしてもアカン」
馬淵史郎監督が1次リーグの山場とした米国戦。先発を託したのがエース大阪桐蔭の前田悠伍だ。緊張は全くなかったという。W杯初登板の左腕は「投げる気、満々でした」。
強風に加えて、時折、雨も降る環境の悪さもなんのその。丁寧にコースへ投げ分ける制球力に加え、観察眼の鋭さもさえた。序盤、得意のチェンジアップが相手に狙われていると気づくと、すぐさま140キロ台の直球とカーブを多めに投げる配球に変えた。
四回、先頭の飛球を追った左翼・橋本航河(仙台育英)と遊撃・小林隼翔(広陵)が交錯した(記録は二塁打)。不穏な空気がベンチに流れたが、前田は「自分がカバーする」。後続を併殺、見逃し三振で切り、マウンドでほえた。
今夏は大阪大会決勝で敗れ、甲子園に出場できなかった。だが、「いつまでも引きずって、ぐずぐずしてもアカン」と、日本代表に呼ばれることを信じて練習を続けていた。
馬淵監督も前田の責任感の強さを感じていた。「12万8千人の高校球児の代表ですから。本人だってよくわかっている」。その信頼の高さがあったからこそ、大事な一戦を任せた。
6回途中を無四球で8奪三振。世代屈指の好投手と評される前田は「ジャパンで良い結果を出したかった。本当に良い投球ができた1日だったんじゃないかな」。前回王者を破り、大会初制覇に向けて弾みをつける1勝となった。(台北=室田賢)