「こっちに流れが来た」と馬淵監督 ほころびをカバーし合う代表の力
野球の第31回U18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)は2日、台北などで第3日があり、1次リーグB組の日本はパナマとの第2戦に7―0で快勝し、2連勝とした。2番の小林隼翔(広陵)が三回に先制打、六回に3点三塁打を放つなど4安打4打点と活躍。中山優月(智弁学園)、木村優人(霞ケ浦)、高橋煌稀(仙台育英)の3投手が無失点でつないだ。
■ミスの直後に
日本は三回の守りがポイントになった。
先発の中山優月(智弁学園)が先頭に安打を許した。次打者の投前バントをつかむと二塁封殺を狙ったが、送球がそれて二、三塁になった(記録は犠打野選と悪送球)。
ここで馬淵史郎監督がマウンドに駆け寄り、間を取った。「1点はいいと言ったんですよ。逆に1点を惜しんで、ビッグイニングになることがある。しっかり守って行け、と」
これで中山は落ち着いた。守備陣からの声かけも力になり、「丁寧にいけた」。相手1番が再び試みたバントがほぼ正面へ。中山は三塁走者を制してから一塁へ送球し、ここでスタートを切った三塁走者は一塁手・寺地隆成(明徳義塾)が素早い送球で本塁タッチアウトにした。
本来は捕手の寺地は「投手が追い詰められてしまう場面だし、捕手も何を投げさせようか考えてしまう。守りと声でカバーしたかった」。
後続も断って無失点で切り抜け、「こっちに流れがきた」と馬淵監督。
直後、2安打でつくった1死一、三塁の好機に小林隼翔(はやか、広陵)が適時内野安打を放って先制点を奪うと、四回にも2点を加え、主導権を握った。
スモールベースボールを掲げる今大会。4安打4打点の小林が「あれ(三回の守り)で全員で踏ん張れたので、ちょっとずつ流れが来た」と言えば、内野手も兼ねる中山は「守備が堅くて、すごく心強い選手ばかり」と感謝した。
ミスの傷口を広げない落ち着きと、カバーし合うチーム力が光った。(台北=室田賢)