仙台育英の2年生、分析力が光った一打 高校野球・春季東北大会
10日、春季東北地区高校野球大会準決勝 仙台育英3―0盛岡三
七回裏、2死三塁。
2年生ながら3番を任される湯浅桜翼(おうすけ)選手は狙いを変化球だけに絞って、右打席に入った。
送り出される前、須江航監督にこう尋ねられた。
「ストレートと変化球。どっちにいく?」
湯浅選手は即答した。
「変化球しか来ないと思います」
自分が下した決断。
その初球。外角やや低めに読み通りのスライダーが来た。おっつけて右翼へ運び、三塁走者をかえした。
これがチーム3点目。投手戦の展開だったロースコアゲームで、湯浅選手の一打が決め手になった形だ。
実は、その前の第3打席で変化球を打ち損じて右飛に打ち取られていた。そこから「相手の捕手から変化球に合っていないと思われている」と分析した。
「(読み通りに変化球が来て)びっくりしてました」と控えめに笑ったが、相手への観察眼は確かだ。春の県大会で5番か6番だった打順は今大会では3番に上がった。「彼が何番に入ってくるかでチームの攻撃の仕方が変わる」と須江監督はキーマンに挙げる。
これで決勝に勝ち進んだ。夏の宮城大会前、最後の公式戦だ。須江監督は「(決勝に)負けたら甲子園に出られないつもりで戦おう」。湯浅選手ももちろん、そのつもりで挑む。(福留庸友)