盛岡三の投手、「鋼のメンタル」で仙台育英に挑む 高校野球東北大会
10日、春季東北地区高校野球大会準決勝 盛岡三0―3仙台育英
楽しくてしょうがない。そんな様子で投げ続けた。
盛岡三の先発、藤枝歳三投手(2年)は七回で降板するまで、笑顔が絶えなかった。相手は昨夏の甲子園優勝、今春の選抜大会にも出場した仙台育英。全国レベルの相手にも、全くひるまなかった。
二回裏。右前安打から四球を出し、犠打を決められ、2死二、三塁のピンチを迎えた。直球だけでは、仙台育英には通用しない。だったら、低めの変化球で内野ゴロに打ち取ろう。笑顔でゆっくりと肩を回してから、息を吐いて投げた。打球は遊撃手の前に。狙い通りの展開となり、ガッツポーズでほえた。
伊藤崇監督いわく、藤枝投手は「鋼のメンタル」。
今大会、八戸工大一(青森)や日大山形という強豪相手にもリラックスして投げ、2試合で計16回8奪三振。いずれも2失点以下のロースコアで抑えてきた。この日も六回まで1失点。「スコアに一つずつ0を刻めて、自信になった」
七回につかまった。低めの投球を意識するも、制球が乱れた。甘く入った球を捉えられ、四球や長短打などで2失点。帽子を脱いで天を仰いだ。それでも仲間に見せたのは笑顔だった。
負けたが、得たものが大きかった。きわどいところにしっかり投げ込めば、強豪とも十分戦える。そう実感し、自信につながった。「野手を信じて楽しく投げられた。ミスをなくして、夏の甲子園に絶対行きたい」(松尾葉奈)