一関学院、昨夏の覇者・仙台育英に敗れる 高校野球春季東北大会
8日、春季東北地区高校野球大会準々決勝 一関学院0―8仙台育英
「ごめん!」。一関学院の先発、小野涼介投手(3年)は二回表、2死一、二塁のピンチでマウンドから後ろを振り返って内野陣に声をかけた。2連続で四球を出し、少し焦っていた。
ふっと息を吐いて投げた球は、甘く入り、右翼に飛んで先制の2点二塁打に。ぐっと口を結び、下を見ながらマウンドに戻った。
いつものように、テンポよく投げられない。相手打者の選球眼に苦しめられ、悔しさがあふれてきた。硬い表情のまま、五回途中でマウンドを降りた。
それでも「自分にできることは何か」。五回の守りが終わった瞬間、ベンチから駆け出した。誰よりも前に立って、「いいよ! ナイス」と声を出した。守備位置から戻ってきた仲間をハイタッチで迎えた。
昨夏の甲子園でも登板。珍しい下手投げで制球力を磨き、テンポのよい投球で強豪を抑えた。今夏も甲子園のマウンドを踏むために、課題とした左打者を想定し、投げ込んできた。この日も、春の選抜大会に出場した仙台育英を相手に、初回は三者凡退で抑え、続く左打ちの4番打者からは三振を奪った。手応えを感じられた東北大会だった。
ただ、自己採点は「30点」。全国レベルの相手に、持ち味であるテンポのよい投球を、さらに磨くことを決めた。「持ち味が発揮できずに終わったのが、すごく悔しい。夏の甲子園に行くまで、全力で練習したい」(松尾葉奈)