聖光学院、一発攻勢に泣いて初戦敗退 高校野球・春季東北大会
(7日、第70回春季東北地区高校野球大会 1回戦 聖光学院5―6日大山形)
2点を勝ち越した直後の延長十回1死二、三塁。聖光学院の先発・安斎叶悟(3年)が投じたこの日124球目。直球が真ん中気味に入ったのを相手1番打者は見逃さなかった。弧を描いた打球が左翼フェンスを越えた瞬間、グラウンドの選手全員が泣き崩れた。
聖光学院は今大会、夏の大会同様、「負けたら終わり」という覚悟で臨んだ。
この日は一回に三好元気(3年)の適時打で先制すると、五回にはスクイズと杉山由朗(3年)の適時打で2点を加え、理想的な試合展開だった。
六回に同点本塁打を浴びた安斎も得意のチェンジアップと直球の緩急を生かし、打たせて取る投球が光っていた。
自慢の打線は相手を上回る14安打。だが七回以降、毎回の得点機に相手右腕の140キロ台の直球と手元で動く変化球の前にあと一本が出なかった。
試合後、斎藤智也監督は「安斎は100点以上の投球」と評した一方、「安打数と得点に開きがあった。もう少し、点数を取りたかった」と振り返った。主将の高中一樹(3年)は2点勝ち越した直後の延長十回2死満塁の好機をあげ、「大事な場面で力を出し切ることができなかった。夏に向け、改善したい」。
安斎は昨秋の東北大会準決勝で3本塁打を浴びたのに続き、この試合も2本塁打を許した。「秋、春と多くの人を泣かせたので、最後の夏こそは多くの人を喜ばせたい」。1カ月後に開幕する福島大会に向け、決意を新たにした。(滝口信之)