広陵の1番打者、5打数4安打で優勝も「反省」のわけ　中国大会決勝

　【広島】（6日、春季中国地区高校野球大会決勝　広陵9―1宇部鴻城）

　「こちらは迎え撃つだけだ」。広陵のリードオフマンの快音が決勝の舞台で何度も響いた。

　相手は昨秋の中国大会の準々決勝で下した宇部鴻城。リベンジへの気迫は存分に伝わってきた。1番打者としてのみ込まれてはいけない。田上夏衣（かい）選手（3年）はむしろ闘争心を燃やした。

　一回裏、右前打で出塁し、真鍋慧（けいた）選手（3年）の適時二塁打で最初のホームを踏んだ。その後も2打席連続安打、申告敬遠と出塁を続ける。そして七回裏、1死一、三塁の好機で打席に立った。1球目、警戒した相手投手が暴投。三塁走者が生還した。

　「変化球のキレが良い投手。直球をセンターへ返す」。2球目、迷わずバットを振った。打球は右中間へ飛び、適時二塁打となった。この回、チームは一挙4得点。試合を決定づけた。

　田上選手は5打数4安打で2打点。今大会では一番の出来だった。それでも試合後に目を向けたのは、唯一打ち取られた最後の打席だった。「バットが少し下に入りすぎた」と反省を口にした。

　夏の全国制覇を目指す田上選手に、2季連続の中国大会優勝を喜んでいる暇はない。「バッティングを磨いて、夏も一戦必勝でいきます」（魚住あかり）