北信越地区高校野球大会、決勝は県大会決勝と同じ対決に
第148回北信越地区高校野球大会(北信越地区高校野球連盟主催)は4日、準決勝が石川県立野球場であった。星稜(石川1位)は2―1で帝京長岡(新潟1位)を、日本航空石川(石川2位)は7―6で遊学館(同3位)をそれぞれ破り、6日の決勝(午前10時、県立)は春の県大会決勝と同じ顔合わせとなった。
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高校野球の強豪・星稜(石川)に入って3年目の春。初めての公式戦は途中出場だった。
4日にあった北信越地区大会の準決勝は、星稜と帝京長岡(新潟)の顔合わせになった。
星稜が1―0とリードした五回表、左翼の守備に尾崎遥哉選手(3年)がついた。
内野フライで1死とし、まず、自分に飛んできた打球は頭上を越えて二塁打に。安打が続いて、1死一、三塁のピンチになった。犠牲フライで同点だ。
頭をよぎったのは、試合前練習での送球ミスだった。1球だけ高めにそらしてしまった。「今度は本塁へ低く投げよう」。外野から投打を見つめた。
金沢市の市立中学出身で、スポーツも勉学も力を入れているところにあこがれて星稜へ。打撃は得意だったが、部内競争も激しく、なかなかベンチ入りができなかった。
山下智将監督によると、大会前、「最後のチャンス」となった大垣日大(岐阜)との練習試合で補殺を記録し、見事「合格」。20人のメンバーに滑り込んだ。与えられた背番号は「19」だった。
さっそく、その肩が試される場面が来た。五回表1死一、三塁、帝京長岡の打線は上位に戻り、2番打者を迎えた。2球目で打球が再び左翼へ上がった。三塁走者がタッチアップしたのが見えた。
「今度こそ低く」。浅いフライに対して、しっかりと助走をつけた。投げ込んだ送球はまっすぐ近藤真亜久捕手(3年)のミットに収まりタッチアウト。帝京長岡の反攻を封じた。
勢いづいた星稜は、直後の五回裏に追加点を挙げ、最後は1点差で逃げ切った。自身には六回に初安打も出た。チームメートが苦労していたチェンジアップをとらえた当たりだった。
試合の流れを決めた好返球を「チームに勢いをつけたかった。強いボールを投げられた」と振り返ったが、「(捕った)近藤のおかげ」とチームメートへの感謝を口にした。
もう一つ、好プレーの裏には「寮生活をさせてもらっている親への恩返しの気持ち」があったという。「家族がきょうは観戦していた。このあとごはんを食べに行く約束なので、良い土産話ができた。夏は背番号を一桁にする」と誓った。(土井良典)