打撃は得意でも苦手でもない…随一の俊足が唯一の打点 広陵が決勝へ
【広島】(4日、春季中国地区高校野球大会準決勝 広陵1―0岡山学芸館)
感触を確かめるようにバットを大きく振った。二回表、無死一、三塁。広陵の最初の決定機に打席に立ったのは6番・金山涼矢選手(3年)だった。
「打って自分の仕事をする」。4球目、センターへの打球は大きな犠飛となり、三塁走者が生還。背番号13がこの日、唯一の得点をたたき出した。
県大会決勝や中国地区大会初戦など、先発起用が続く。だが、最も期待がかかっているのは打力ではない。
50メートル6秒0。チーム随一の俊足だ。中学時代は陸上部の顧問に誘われ、野球部と兼部するほどだった。ハードルを使った朝練で脚を鍛えた。
進学した広陵でも足の速さを見込まれた。「打つのは得意でも苦手でもない。塁に出られたら何でもいい」。大会初戦では、四球と失策で出塁、それぞれ二盗を決めた。
この日は岡山学芸館から徹底的に警戒された。四回に死球で出塁すると、後続の1打席の間に3回もの牽制(けんせい)を受けた。試合を通じて盗塁はかなわなかった。
「牽制(けんせい)のうまい投手で、ぎりぎりだった」と振り返る。そして「どんな投手が相手でも走れるランナーになりたい」と語った。打撃で決勝進出の立役者となったが、脚力でチームを支える自負は揺るがない。(魚住あかり)