背番号6が公式戦初完封 智弁学園・中山優月選手
【奈良】(4日、春季近畿地区高校野球大会決勝 智弁学園10―0金光大阪)
16年ぶりに春の近畿王者となっても、智弁学園の面々は大喜びしなかった。公式戦初完封を飾った背番号6の中山優月(ゆづき)(3年)は「丁寧に投げることだけ考えてたら、優勝の実感がなくて」と苦笑いで話した。
前日の準決勝に勝ったあと、小坂将商(まさあき)監督から決勝の先発を告げられた。「ほかのピッチャーが頑張ってくれたおかげで、決勝で先発するチャンスをもらった」と、仲間に感謝した。
相手がエースを登板させなかったこともあり、智弁学園は二回までに7得点。中山は最速146キロの直球と変化球を丁寧に投げ込んでいく。四回表、1死満塁のピンチにも冷静で、後続を空振り三振と左飛に打ち取った。
昨秋は1番をつけた中山だが、この春を前に右ひじを痛めた。代わりに1番を背負った藤田健人(3年)が成長し、県予選決勝の天理戦で完投勝ち。近畿大会初戦の大阪桐蔭戦にも先発した。「藤田の頑張りは誰より知ってるし、僕らの間には絆がある。夏まで1番を争っていきたいです」
中山は登板前夜、体にキレを出すために走る。決勝前夜もコブクロの「DOOR」を聴きながら走った。「眠れない日々を過ごすのなら 眠らない明日を追いかけよう」という歌詞が大好きだ。4季ぶりの甲子園出場という一つの目標を追いかけ、夏へ駆け出す。(篠原大輔)