「チャンスに強いと思ってます」 頼れる智弁学園の4番目の打者
【奈良】(3日、春季近畿地区高校野球大会準決勝 智弁学園10―3市和歌山)
近畿大会で智弁学園の4番に座るのが、二塁手の山崎漣音(れん、3年)だ。身長169センチと大きくはないが、伝統のユニホームから出た両腕はしっかりと太い。
小坂将商(まさあき)監督は県予選で3番だった松本大輝(だいき、3年)を1番に、4番だった中山優月(ゆづき、3年)を3番に上げ、2番か5番だった山崎を4番に。「お前は4番目のバッターっていうだけやからな」と告げた。しかし山崎は重く受け止めてしまい、1回戦の大阪桐蔭戦は無安打。この日も右飛、遊飛と倒れていた。
迎えた五回裏の3打席目は同点で1死満塁という状況。「チームのために打つ」。山崎はそれだけ考えて右打席へ。初球のスライダーをたたくと、「よっしゃー、いったー」と叫んだ。打球は三遊間を破り、敵失もあって2点を勝ち越した。七回裏には無死一塁からの左中間二塁打でチームを勢いづけ、この回でコールド勝ちした。終わってみれば4打数2安打3打点の活躍だった。
大和高田市出身で、中2のとき五條リトルシニアで全国8強を経験。最初に声をかけてくれた智弁学園に進んだ。昨夏は背番号5。新チームになって筋力トレーニングにも励み、パンと張った両腕を手に入れた。飛距離も格段に伸びた。
「自分は強気でガッツがあるんで、チャンスには強いと思ってます」と笑った山崎。決勝進出を決めた智弁学園には、小さくても頼もしい4番目の打者がいる。(篠原大輔)