市和歌山の大江、本人も「まさか」の一打 春季近畿地区高校野球
(3日、春季近畿地区高校野球大会準決勝 市和歌山3―10智弁学園)
好打して二塁を回ったところでガッツポーズ。だが、何かおかしい。市和歌山の大江陸斗選手(3年)が違和感の理由に気づいたのは二塁で落ち着いたあとだった。打球は左中間フェンスを越えていた。
1点を追う五回の先頭打者だった。チームは四回まで散発の2安打で、三、四回は三者凡退と相手投手のペースに乗せられていた。
「中軸の自分が、後につなぐ打撃をするんだ」
ファウルで粘って8球目、内角の直球を振り抜いた。「ヒットになるとは思ったが、まさか本塁打になるとは思わなかった」。一度止まった二塁から、はにかみながら生還した。
大江選手は、5月27日にあった報徳学園(兵庫)との今大会1回戦は3打数無安打だった。その反省から、打撃フォームを見直して試合に臨んでいた。「トップの位置が低くなってしまっていた。この1週間、打撃フォームを丁寧に修正してきた成果だと思う」と本塁打を喜んだ。
試合前日は、台風2号の影響で仲間との練習はできなかった。その分は自宅で報徳学園戦の自身の打撃を動画で振り返り、鏡を見ながらフォームを確認した。
市和歌山はこの試合、六回にも2得点して食い下がったが、七回に5点を奪われ、コールド負けした。
だが、試合後の大江選手は前向きだった。「昨秋は来られなかった近畿大会に今春は来られていい経験になった。(チームとして)ミスの後で粘り切れなかったので夏に向けて修正し、甲子園を目指したい」(下地達也)