「先発ぱちっと」6回零封、2打点も記録 広陵が中国大会初戦勝利
(3日、春季中国地区高校野球 柳井0-6広陵)
「さとし、さとし!」
四回裏、2死二、三塁の好機。広陵の倉重聡選手(3年)が打席に立つと、応援席から名前を呼ぶ声が響いた。
1点リードで迎えた場面、広陵にとっては柳井(山口)を突き放す絶好のチャンス。「自分が打って流れを変える」。2球目、狙っていた直球を振り抜くと打球は内野手の間を抜けていった。太鼓をどんどんと打ち鳴らして喜ぶ仲間の姿に、厳しい表情を少しゆるめた。
背番号10の控え投手だが、打撃力もアピールしようと、この春は地道にフォームの改善に取り組んできた。打ち気にはやって、ボールにつっこんでしまう癖を見直し、体を後ろに残すよう意識した。練習の成果が出たのか、「今日は力みなく打てた」と満足げだ。
先発投手としても、この上ない出来だった。課題だった立ち上がりは良好で、三回まで三者凡退。これには中井哲之監督も「ぱちっと抑えてくれた」と評価した。
投打で力を出したことで、夏に向けて存在感を十分に示すことができた。それでも「エースと比べると実力差は大きい」と言う。気をゆるめず、次のチャンスを再び待つ。(魚住あかり)
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◎…広陵が倉重、亀岡、堀田の継投で14奪三振、被安打1で柳井を抑え込んだ。先発の倉重は6回10奪三振で安打を許さず、出した走者は1人だけの好投。
攻撃では、相手エース吉兼の粘投で5安打にとどまったが、盗塁を重ねて効率的に得点した。