「元4番」打者、全得点たたき出す 岡山学芸館が中国大会の初戦突破
(3日、春季中国地区高校野球 岡山学芸館3―1高川学園)
昨秋の中国大会準々決勝で敗れた高川学園(山口)との再戦に、岡山学芸館は打線を大幅に組み替えて臨んだ。「夏本番に向け、バリエーションを増やしたかった」と佐藤貴博監督は説明する。ただ、全得点をたたき出したのは8番に下がった「元4番」だった。
敵失で得た二回1死一、二塁。清水義登(3年)は3球続けてバントの構えからバットを引いた。投手の動揺を察したベンチから「待て」のサインが出ていた。2ボール1ストライクになって、やっと「打て。変化球を狙え」に指示が変わる。真ん中に浮いたチェンジアップを思い切り引っ張り、左中間を抜く先制の2点二塁打。「真芯に当たったのでレフトライナーになるかと思いましたが、伸びてくれました」
春の県大会では準決勝と決勝で4番を任され、それぞれ1安打。打点も挙げた。ただ、本人は「あまり結果は残せなかった」と振り返る。大会後は下位に回ることも増え、この日は2年生に4番を譲った。
ただ「走者を進める仕事の大事さがわかった」。四回には送りバントを決め、八回には1死二、三塁で投手を強襲するゴロを放って貴重な3点目を加えた。「8番でしっかり結果が残せてよかったです」
投げてはエース伊藤洸史郎(3年)が公式戦初完投。故障で登板できなかった昨秋の高川学園戦の無念を晴らした。四回に先頭打者に本塁打を浴び、連続与四球から1死二、三塁と崩れかけたが、ベンチがスクイズを見破って空振りさせ、同点を阻止した。その後も走者を背負いながら、143球を投げきった。「暑かったし疲れたけど粘り強く守れました」。佐藤監督は「エースの投球を初めてした」とねぎらった。
次戦は今春の選抜4強の広陵(広島)。「元4番」の清水は「点が取れるところで取っていかないと負ける」と気合を入れ直していた。(大野宏)