チームもり立てる「常に全力」 鮮やかな同点スクイズで勝利へ勢い
第70回春季東北地区高校野球岩手県大会準決勝
一関学院2―1盛岡三(延長10回タイブレーク)
バントも走塁も、常に全力。一関学院の9番打者・小沢稜太選手(3年)の姿勢が、苦しい展開のなかチームを勢いづかせた。
1点を追う七回裏、1死満塁の好機。スクイズで行く、と決めていた。サインもセーフティースクイズ。ベンチの仲間にむけた笑顔とは裏腹に緊張していた。不安を隠して転がした打球は、一塁手の前に。全力で一塁に走ってアウトになるも、三塁走者が生還した。ベンチやスタンドが沸いた。ガッツポーズが出た。
延長タイブレークの十回裏でもスクイズに挑んだ。少し浮いてフライになり、打ち取られたが、次打者の安打でチームはサヨナラ勝ちを決めた。
バントが得意。塁を目指すときは全力疾走だ。「打線にいると良いアクセントになって、チームが締まる。打線に厚みが出る」と高橋滋監督も信頼をおく。今大会ではスライディングでベルトが切れる場面も。ユニホームは、いつも土で真っ黒だ。
強打のチームの9番打者。小沢選手は「みんなが打てない時に、バントで上位打線につなげる」と自身を称する。優勝まであと一つ。「チームの勝利につながるプレーがしたい」と笑顔だった。(松尾葉奈)