高校野球の東海大会 東邦がサヨナラ勝ち、至学館も猛攻13安打
第70回春季東海地区高校野球大会(東海地区高校野球連盟主催)が20日、静岡市の草薙球場などで開幕した。東邦(愛知1位)は日大三島(静岡2位)に2―1でサヨナラ勝ちし、至学館(愛知2位)も13安打と打線が好調で、いなべ総合(三重1位)を5―1で退けた。21日の準決勝では、東邦が県岐阜商(岐阜1位)と、至学館は加藤学園(静岡1位)とそれぞれ対戦する。(柏樹利弘)
■スクイズ二つ決めた 至学館の竹村悠汰選手
ここ最近の練習試合では空振りを連発していた至学館の竹村悠汰選手(3年)。一つの言葉を強く思いながら試合に臨んだ。「自分のできることを精いっぱいやりきる」
一回は追加点が欲しい場面で三振。三回も得点機で打順が回ってきた。麻王義之監督からの指示はバント。5球目、冷静に対応してスクイズを決めた。五回も1死三塁の大事な場面で、再び打席に立った。麻王監督からの指示は、ここでもバントだった。
右ひざを大きく曲げ、ボールをバットにコツンと当てて、転がした。お手本のようなスクイズ。三塁走者が本塁に駆け込み、ダメ押しの5点目をもぎとった。「毎日練習してきて、自信はあった。あの場面で決められて良かった」
思い切りの良いスイングと細かい技術を使い分けられる打者で、新チームでは打線の上位を担ってきた。だが、東海大会の前から不調で、この試合は6番打者。球場に向かうバスの車内、先発メンバーが一人ずつ抱負を話す中、竹村選手が口にしたのが「自分のできることを精いっぱいやりきる」だった。
この日は4打席目に左前安打も放った。「今日はしっかりやれた。次の試合は良い感じで入れそうです」(柏樹利弘)
■「燃えるタイプ」 東邦の岡本昇磨選手
同点でもつれこんだ最終回、鮮やかな幕切れが待ち受けていた。
東邦は九回裏1死二塁で、打順はチーム随一の強打者で4番の石川瑛貴選手(3年)。「よっしゃ、やったろう」。だが、打席に立つと申告敬遠が告げられた。一塁に歩かされながら、思った。「岡本なら打ってくれるだろうな」
次打者の岡本昇磨選手(同)は、打ち勝つ意欲に満ちていた。「ああいう時に燃えるタイプなんです」。1球目、狙っていた高めの直球を振り抜くと、打球は中堅手の頭上を越えた。ベンチ前で仲間と喜び合った。
ここぞの勝負時で打ち、競り勝った経験は「夏に向けてプラス」と振り返った岡本選手。山田祐輔監督も「打てそうで打てない接戦で、どういう風に勝てるかが大事。岡本の勝負強さが出た一打だ」とたたえた。
■至学館は猛攻13安打
◎…打力に勝る至学館が13安打で押し切った。一回、清水が左前打で出塁し、高橋の適時打で先制。三、五回にも高橋の長打に犠打など小技も絡めて着実に加点した。いなべ総合は三回に守備の乱れを突いて1点を返したが、その後は散発の3安打に終わった。
■東邦はサヨナラ勝ち
◎…東邦が投手戦をサヨナラ勝ち。九回から登板のエース宮国が連打を浴びながらも抑えた。その裏、藤田の単打で反撃開始。犠打と申告敬遠、岡本が中越え二塁打で試合を決めた。日大三島は五回に3連続長短打で同点にするなど粘ったが、後続が断たれた。