大宮商に女子硬式野球部 公立高では県内初、11人が汗
公立高校では県内初となる女子硬式野球部が本格的に始動した。大宮商硬式野球女子チームは昨年春から6人で活動していたが、4月に5人の新入生が入部、公式試合ができるようになった。今年度から全国高校女子硬式野球連盟にも加盟し、「甲子園」を目指し部員の士気も高まっている。
監督は、2021年4月に桶川西高校から赴任した内迫博紀教諭(48)。最近の女子野球選手の増加をみて「公立高校でも女子生徒が野球をできる環境を作りたい」と22年からの活動開始を目指して募集を始めた。学校関係者の協力もあり、内迫教諭がクラブチームなどに出向いて活動内容を説明してきた。
募集の結果、6人が集まり、かつて硬式野球部のグラウンドだった場所を練習場として使った。大変だったのは選手のモチベーションの維持。6人だと公式試合ができない。なるべく練習試合の日程を組み、その時には相手校から選手を借りるなどして実戦を積んでいった。
キャプテンの丹下晴菜乃さん(2年)は中学時代に女子野球のクラブチームでプレーしており、高校でも野球がやりたくて大宮商に入学した。「春には公式戦ができるくらいの新入生が入ってくれることを祈りながらモチベーションを保ってきた」と振り返る。
丹下さんの期待通り4月に新たに5人が入部した。
練習では、内迫教諭が「選手目線」の指導方法を導入。選手個人の課題を明確にして取り組む「課題練習」、試合後に監督が作成した動画や資料を使っての「振り返りミーティング」のほか、選手が自主的に練習メニューを作成することも特徴の一つだ。11人の部員が自分たちのメニューに沿って練習している。
内迫教諭は「彼女たちはこれから社会に出て働き、いつかは親になる時がくるかもしれない。どんな時でも自分たちで考え、行動する習慣を身につけることが大切だ」と野球指導に込める思いを話す。
柴垣侑奈さん(1年)は中学時代は軟式野球のクラブチームでプレーしていた。「はじめは不安だったが、練習は自分の目的を持ちやすいように工夫されていて充実している。目標は最終的には甲子園出場」と希望を語る。
女子高校生の全国の硬式野球大会は1997年に5校で始まった。参加チームが少ないので地区予選はなく、全国の高校がトーナメント形式で指定された球場で戦う。夏に開き、試合は7回制。指名打者制を採用している。21年から決勝だけ阪神甲子園球場で行っている。県内には全国優勝7回を誇る埼玉栄をはじめ、花咲徳栄、叡明と強豪私立校が名を連ねる。(佐藤太郎)