専大松戸、初の選抜8強 「壁」超える夏へ、甲子園で見えた課題は
【千葉】第95回記念選抜高校野球大会で、専大松戸は春夏通算4回目の甲子園出場で初の8強入りを果たした。計3試合を振り返り、夏への課題を探る。
常葉大菊川(静岡)との初戦は3点差、高知との3回戦は2点差で、持ち味の粘り勝つ野球を体現した。しかし4強の壁は高く、継投で挑んだ準々決勝は広陵(広島)の強力打線につかまり、7点差で敗れた。
準々決勝の二回途中でマウンドを降りたエースの平野大地投手(3年)は「直球への反応をもっと試したかった」。最速151キロの好右腕として注目され、3試合とも先発した。初戦から2試合連続で130球以上を投げて完投した。
広陵戦後、持丸修一監督(74)から「直球を見せ球にして変化球で勝負」と指示があったことを明かした。140キロ台後半を記録した直球は広陵戦で130キロ台後半になり、勝負球の変化球にも対応された。平野投手は「直球で勝負ができて、試合をつくれる投手になって帰ってきたい」と話した。
専大松戸はベンチ入りした18人のうち、6人が投手だった。連戦を勝ち残るには継投も重要だ。2試合目の高知戦前日、持丸監督は取材に「次は継投も視野に」と話していた。試合は七回まで1点差のまま進み、平野投手は交代しなかった。
持丸監督は「1点じゃ怖かった。点差がなかったので平野でいくべきかなと」。ほかの投手の調子は良かったが、結果的にはエースに任せる形になった。
広陵戦で初登板した渡辺翼、青野流果(るか、いずれも3年)の両投手は得意の変化球を投げ込んだ。相手の勢いを封じられず、「平野に頼り続けていたら、勝ちきれない」と口をそろえ、奮起を誓った。
打線をつなぎ、序盤で得点を重ねて投手陣を支える試合展開も必要だ。常葉大菊川戦は一回に3点、高知戦は二回に4点を挙げて先行した。広陵戦も二回に3連打でつないだが、得点は1点にとどまった。
夏につながる小技が光った場面もあった。同点で迎えた高知戦の八回、先頭で左打者の宮尾日向(ひゅうが)選手(3年)による一塁方向のバントが内野安打になった。後続も出塁し、決勝点をもぎ取った。持丸監督は「チャンスをつくるために(9番だった)宮尾を2番にした」と話した。
選手たちは声援が戻った甲子園のグラウンドで躍動した。大森准弥主将(3年)は「夏にまた戻ってきて、より良い結果を残したい」。持丸監督は「やるべきことをやり、ミスも起こさないように調整したい」と夏を見据えた。(宮坂奈津)