ライバルの活躍が刺激に、ひと味違う大阪桐蔭の4番 南川幸輝の闘志
選抜大会の連覇まであと2勝となった大阪桐蔭。31日の準決勝では、2戦連続の延長戦を制し、勢いに乗る報徳学園(兵庫)と対戦する。そんな相手に大阪桐蔭の南川幸輝選手(3年)は「大阪桐蔭の4番」のプライドを胸に静かに闘志を燃やす。
南川選手の売りは長打力。スタンドに突き刺さるような「弾丸ライナー」を打つ鋭いスイングが魅力だ。
中学生時代は甲子園で本塁打を打つ大阪桐蔭の4番の「豪快なスイング」に憧れた。ただ新チームで自身が4番になって気づいたことがある。
「大阪桐蔭の4番は、単にヒットやホームランを打つんじゃない。苦しい試合展開でも1本出し、悪い雰囲気を一振りで変える存在」と感じた。
3回戦の能代松陽(秋田)戦では、好投する森岡大智投手(3年)に六回までチームは1安打に抑え込まれていた。
ただ南川選手は七回の3打席目で右越えの三塁打を放ち、その後決勝点となる本塁を踏んだ。「チームが打てずに苦しい中で、なんとか1本出せてよかった」
甲子園の打席では、吹奏楽部がスタンドから奏でる応援曲を心の中で歌えるのが好調のしるしだという。「心に余裕がある時はスタンドの応援もよく聞こえるし、いい結果が出やすいです」と話す。
ライバルの復調も刺激になっている。
準々決勝の東海大菅生(東京)戦では、「似たようなタイプの打者でライバル」と話す佐藤夢樹(むつき)選手(3年)に今大会チーム初の本塁打が出た。
南川選手は「正直めっちゃうらやましかった。ちくしょう! でもナイスバッティングって感じでした」と対抗心を燃やす。
準決勝の相手、報徳学園は昨秋の近畿地区大会決勝で対戦している。そのときは大阪桐蔭が1―0で勝利した。
お互いの手の内を知る相手に、南川選手は「相手は借りを返すと、今まで以上に強い気持ちでやってくる。ただ自分たちも絶対に日本一になるという気持ちでやってきた」と話す。
試合が近づき緊張感が高まるが、南川選手はこう宣言した。
「見ててください。スタンドに突き刺さるような弾丸ライナーを打ちます!」(岡純太郎)