専大松戸の吉田慶剛、甲子園2安打の父超えるホームラン 強肩も披露
(29日、第95回記念選抜高校野球大会準々決勝 千葉・専大松戸2-9広島・広陵)
専大松戸の主砲吉田慶剛(けいごう)選手(3年)は4番交代をほのめかされていた。今大会はこの試合までは1安打。「次打ったら、みんなは認めてくれるかな」。宿泊先のホテル近くにある公園で、門限までの約40分間、仲間に隠れてバットを振った。
7点を追う六回、3度目の打順がきた。ファウルで粘り、6球目。「チームのために、1点でも」。低めの変化球を振り抜くと、打球は風に乗った。「いってくれ!」。三塁コーチャーは腕を思いっきり回していた。笑顔で本塁を踏み、ベンチに戻ると仲間が温かく迎えてくれた。
認めてもらいたい人は、もう1人いた。父の祐司さん(49)も持丸修一監督が率いた竜ケ崎一(茨城)で1990年と91年の夏に出場し、甲子園で2安打を放った。4番も務めた。「甲子園はすごいところ」。父からそう聞いてきた憧れの場所で本塁打の前にも安打を放ち、父を超える3本目を本塁打で決めた。
この日は三回に二塁への盗塁を2回阻止し、捕手として強肩も披露した。スタンドで活躍を見守った祐司さんは「超えられてしまった。チームは負けたが、これを糧にまた頑張ってほしい」とたたえた。
試合後、吉田選手にも聞いてみた。「超えられたと思います」。そう言ってはにかんだ。(宮坂奈津)