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技ありのバント、リズム作る返球 山梨学院の投手陣引っ張る佐仲大輝

2023年3月29日18時44分

朝日新聞DIGITAL

 (29日、第95回記念選抜高校野球大会準々決勝 山梨学院12-3栃木・作新学院)

 好調な山梨学院の投手陣をリードで支える佐仲大輝捕手は、地味な小技でもチームに貢献している。

 三回無死一、三塁の場面で打席に入った。初球、バントの構え。バントできる投球だったが、あえてバットに当てなかった。三塁走者はスタートの構えだけだったが、相手捕手はスクイズを警戒して三塁方向へ視線を向けている間に送球できず、二盗を許した。この回の大量得点をもたらす好機が広がった。

 スクイズのふりをして一塁走者の盗塁をアシストする「偽装スクイズ」だ。この作戦の成功につながったのがこれまでの2戦で決めた見事なスクイズだ。

 2回戦の氷見戦では、4回立った打席はすべて犠牲バント。記録上は、1回の失敗(投ゴロ)だが、「走者のスタートが悪かったためで、バント自体は良かった」(吉田洸二監督)。このうち八回に決めた1本は相手を突き放すスクイズで、3点差をつけた。

 さらに3回戦の光戦は、六回1死三塁で、顔の近くに来た難しい投球に対し、倒れ込みながらバットを立てて球を転がし、効果的な追加点をあげた。高度な技術だが、佐仲捕手は「高い球にバットを立てて転がすのは、練習していますから」と素っ気ない。

 毎回、相手打者の弱点などのデータを吉田健人部長がまとめてくれ、試合前にバッテリー間で共有する。佐仲捕手が頭の中で打者との対決をシミュレーションして試合に臨む。

 「林(謙吾投手)が自分のサインに首を振るのは1試合で1回あるかないか」(佐仲捕手)、「試合中は配球は佐仲に任せ、相手打者よりも佐仲のミットを見て投げ込んでいる」とバッテリー間の信頼は厚い。

 この日は、複数の走者をためないことを念頭に相手打線を攻めた。六回に打たれたソロ本塁打も「カウントを3ボールノーストライクにしてしまい、点差も開いていたので四球を出さないことが優先で、ある程度仕方がない」と納得した様子で口をそろえた。

 林投手は走者がいてもいなくても、セットポジションで投球する。佐仲捕手が「捕ったらすぐ返すようにしている」という返球を林投手が受け取ると、林投手は一連の動作の中で1、2回うなずき、次の投球へのセットポジションに入っていく。自分たちからあえて「間(ま)」を取らない限り、この投球テンポが変わることはない。

 2人の信頼が、山梨学院自慢の堅守を生む軽快なリズムを作り出している。(三宅範和)

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