食事や風呂をともにして性格分析 広陵の二枚看板を支える捕手・只石
(29日、第95回記念選抜高校野球大会準々決勝 広陵9―2専大松戸)
二回表。1点を先行され、なお2死満塁のピンチ。広陵(広島)の只石貫太捕手(2年)がマウンドに駆け寄った。
「打たれてもいい。思い切って」。選抜初先発の倉重聡投手(3年)の腰に手を当て、声をかけた。得意球の直球で右飛に打ち取り、二回裏の大量得点につなげた。
「扇の要」といわれる捕手のポジション。小学2年から捕手一筋の只石選手は「チームで一番周りがみえていないといけない」と語る。その冷静さは、グラウンドだけの努力で磨かれたものではない。
広陵の投手陣は二枚看板。只石選手は寮での食事や風呂、練習の合間を一緒に過ごすことで2人を観察しているという。倉重投手の性格は「いつも落ち着いているけど、少し緊張しい」と分析。この日の試合前、不安げな顔をしていた倉重投手に「いつも通り腕を振っていきましょう」とほほえみかけた。
初回の守備の前、本塁ベース上に「守」の文字を書くのがルーティンだ。「ホームはもちろん、投手が力を発揮できるよう、投手を守るという意味もある」という。
「次も投手が調子良く投げられるようなリードをする」。3試合でわずか4失点と好調な投手陣の陰に、それを支える「要」がいる。(福冨旅史)