走者三塁からのヒットエンドラン…小技光った山梨学院 攻撃陣に勢い
(29日、第95回記念選抜高校野球大会準々決勝 山梨学院12―3栃木・作新学院)
今大会を通じて初となる2桁得点の大勝の陰に、光る小技があった。
山梨学院は2点リードの三回1死二、三塁。スクイズではなく、ヒットエンドランを仕掛けた。
打者は主将の進藤天。カウント1―2と追い込まれた後の4球目、体に当たりそうな内角球だったが、懸命に当てて遊前に転がす。貴重な3点目を挙げた。
「エンドランは頭にあった」と進藤。実戦形式の打撃練習で、走者三塁からのヒットエンドランは繰り返してきたという。「とにかくボールの上をたたこうと。練習の成果が出ました」と笑顔で胸を張った。
一挙7点で主導権を握ったこの回、無死一、二塁からバスターを試みたり、一、三塁から偽装スクイズで一塁走者が盗塁を決めたり。機動力で作新学院の左腕川又楓(かえで)を崩した。
山梨勢32年ぶりの4強入り。吉田洸二監督は言う。「甲子園に来ると振りすぎるのが課題だった。走者を走らせてバットを振ることで、ミートに意識がいくかなと思った」。3回戦で光の好投手升田早人を攻略し、この日は14安打12得点。自慢の攻撃陣に勢いが増している。(編集委員・稲崎航一)