仙台育英・湯浅が適時打で躍動 初戦は無安打、実ったフォーム修正
(28日、第95回記念選抜高校野球大会3回戦 仙台育英6―1京都・龍谷大平安)
四回1死二塁の好機。仙台育英(宮城)の湯浅桜翼(おうすけ)選手(2年)は「つないでいけ」とベンチから送り出された。この日2度目の打席。さっきまでガチガチだった緊張は、ウソのように消えていた。
昨秋にスタメン入りした。夏の全国制覇を経験した先輩たちがいるなか、打率、打点ともチームトップクラス。「初球から良く振れる」と須江航監督も一目置く。
だが、念願の甲子園のプレッシャーは予想以上だった。初戦の慶応(神奈川)戦、スタンドを埋め尽くした相手応援団は「野球人生で初めて」と言えるほど圧倒的で、雰囲気にのまれた。4打数無安打。悔しくて、試合後に泣いた。
リベンジを誓って臨んだ龍谷大平安(京都)との一戦だったが、試合が始まっても緊張で体のこわばりがとれない。
だが、1打席目。初球をはじいて内野ゴロに倒れると、「なぜか緊張がほぐれた」。
2打席目は冷静だった。フルカウントからの6球目、狙っていたスライダーを振り抜くと、打球は左翼に抜けて適時打になった。
5人兄弟の末っ子で、父誠さん(53)は「おおらかな子」だと言う。それでも「年上の子に負けないよう張り合っていた」と幼い頃から闘争心を秘めていた。
この日は3打数2安打1打点1得点の活躍。初戦の動画を見返して、フォームを修正した結果だった。「次も今日以上の活躍をしたい」。貪欲(どんよく)なホープが躍動し始めた。(武井風花)