打って走って輝いた、仙台育英の4番・斎藤陽 水泳だって全国レベル
(28日、第95回記念選抜高校野球大会3回戦 宮城・仙台育英6―1京都・龍谷大平安)
仙台育英の4番打者斎藤陽(ひなた)が打席で考えることはいつも変わらない。
「後ろにつなぐ」
四回、先頭で左打席に。初球の変化球を引っかけたが、一、二塁間に転がったのを見て50メートル6秒2の快足を飛ばす。しぶとく内野安打をもぎ取った。「良いところに飛んでくれた」
次打者のゴロで二塁に進塁。さらに後続の左前打で本塁へ。捕手のタッチを間一髪でかいくぐり、チームに2点目をもたらした。
身体能力は折り紙付きだ。5歳で水泳を始め、小学6年時、ジュニアオリンピックのバタフライ50メートルで全国2位に輝いた。1年時から掛け持ちした野球との忙しい練習の日々に、「生きてるって感じ」がした。
高校に進学し、野球一本に絞った。泳ぎで培った肩の可動域の広さは、柔らかくてミート力のある打撃にも役立っているという。
2年春から4番に座る。打順は「長打が打てるわけではない」「4番目のバッター」の意識でこだわりはない。昨夏の甲子園5試合では4打点で6得点。今春の初戦、慶応(神奈川)戦でも先制の生還を果たした。走者をかえすより、166センチの身体でダイヤモンドをかき回すのが得意だ。
陽(ひなた)という名前の由来は、「太陽のように輝いてほしいって意味なのかな」と笑う。2試合で4安打。昨夏王者を引っ張る主軸として、輝きを放っている。(安藤仙一朗)