春連覇へ「焦らずにしぶとく」 大阪桐蔭の小川副主将が抱いた危機感
春の連覇を目指す大阪桐蔭は29日、準々決勝の第3試合(午後1時半開始予定)で、東海大菅生(東京)と4強をかけて対戦する。これまでの2試合はいずれも先発投手がゲームを作り、接戦を制してきた。打線の奮起が期待されるなか、かぎを握るのが小川大地選手(3年)の復調だ。
選抜高校野球大会前に調子を落としていたという小川選手。初戦の敦賀気比(福井)戦では、もともと打っていた1番から8番へ打順を落としていた。
「焦らずにしぶとくいこう」と臨んだ3回戦の能代松陽(秋田)戦。打順は1番に戻った。チームは先発の森岡大智投手(3年)を前に無安打に抑えられていた。六回、3打席目が回ってきた。感触はあまり良くなかったが、打球は左前へ転がり、初安打となった。
「大会が始まって、少しずつ状態は上がってきている。何とか振っていく中で、いいヒットを打ちたい」と模索を続ける。
そんな小川選手は、今年2月からチームの副主将も務める。「普段は物静かで淡々とプレーでみせるタイプ」という小川選手に、西谷浩一監督が「チーム全体を見渡せる選手として、もう一回り大きく成長して欲しい」と任せた。
これまで小川選手は、自分のプレーで精いっぱいだったが「役職を与えられてチーム全体のことを考えるようになった。気の持ちようが変わった」と話す。
選抜大会が始まってから攻撃陣は思うように得点できない場面が多いが、ベンチでは「守備からリズムを作っていこう」と副主将として選手たちに声をかける。
我慢の時間が続くなかで、「いいイメージを持って次の試合に入りたい」と小川選手が思い浮かべるのは、昨春の頂点へと一気に駆け上った先輩たちの姿だ。
小川選手は当時、優勝までの5試合いずれも補助員だった。グラウンド目線で先輩たちのプレーを学んだ。「当時は先輩に対する憧れや『すごいな』という思いだったけど、今は勝つために何が必要なのか、思い出しながら戦っている」という。
次戦に向けて気を引き締める小川選手。
攻撃をリードする1番打者として、「これまでは投手に助けられる試合ばかりで、野手として危機感をもっている。次の試合は何点とられても野手がそれ以上に点を返すゲームにしたい」と意気込んだ。(岡純太郎)