後輩の不安受け止めるはずが…高知の3年生捕手の緊張と困惑と反省
(27日、第95回記念選抜高校野球大会3回戦 千葉・専大松戸6-4高知)
高知の高木心寧(もとやす)捕手(3年)は困っていた。この試合、五回から登板した3番手の辻井翔大投手(2年)の球はずっと思い通りに制球されていなかった。背番号17だがエース格だ。
同点に追いついた直後の八回裏、先頭打者に意表を突かれてセーフティーバントで出塁された。困惑は深まった。「いつもなら間をとって投手を勇気づけるのですが、配球に気をとられ『どうしよう……』とばかり思ってしまいました」
焦りが波及する。送りバントで1死二塁になった直後、暴投で一、三塁と傷口を広げた。辻井投手との間でサインの解釈が食い違ったという。辻井投手も「絶対抑えないと、と気持ちが先走ってしまいました」。直後に連続適時打で勝ち越された。ともに低めに制球できず浮いた球を狙われた。
マウンドに上がった高知の4投手のうち、辻井投手ら救援の3人が2年生。普段は高木捕手が「後輩の不安を受け止める」役割だが、10年ぶりとなる目標の8強を目前に、試合前夜から緊張がピークに達していたと振り返る。「僕の方が不安そうな顔をしていたかも」と反省しきりだった。
ただ、辻井投手は「夏は自分の力で勝たせる投球をしたいです」。きっぱりと頼もしい言葉だった。(岡田健)