前田悠伍の存在「刺激になる」 大阪桐蔭の本格右腕、南恒誠の闘志
28日の選抜大会第1試合(午前8時半開始予定)で能代松陽(秋田)と対戦する大阪桐蔭の投手陣の中で、静かに闘志を燃やす選手がいる。「背番号10」の右腕、南恒誠投手(3年)だ。
兵庫県出身の南投手は4人兄弟の末っ子。兄3人全員が高校野球を経験した。4歳年上の瑛斗さんは明石商(兵庫)の投手で、4強入りした第91回選抜大会で活躍した。
南投手の売りは186センチの長身から投げ下ろす直球だ。昨秋の近畿地区高校野球大会では最速145キロを出した。変化球もカーブやスライダー、チェンジアップと多彩で、直球とのコンビネーションで三振を奪った。
2年生だった昨年の選抜大会準々決勝の市和歌山戦では、3番手として登板した。「他の球場にはないような、のまれるような雰囲気」を感じたが、1回を無失点に抑えた。
それから1年が経った。
南投手を見守ってきた石田寿也投手コーチは「後輩を率いるリーダーシップもあり、間違いなく右のエースです」と太鼓判を押す。
そんな南投手が最も意識するのは、同じチームでエース左腕の前田悠伍投手(3年)の存在だ。
南投手は前田投手を「どんな相手でも動じず、自分のリズムや投球スタイルを貫くことができる」と語る。同級生ながら尊敬する投手が近くにいるのは「刺激になる」という。
ただ同じ投手として思うところもある。「まわりは今年の大阪桐蔭を『前田のチーム』と言うかもしれない。けど、投手としてはライバル。マウンド上では負けたくない」。甲子園のマウンドを思い出しながら練習を重ねた。
今年の選抜大会。初戦の敦賀気比(福井)戦では登板の機会がなかったが、試合開始直後からブルペン入りし、グラウンドの雰囲気を感じながら調整した。
次戦に向けて「いつでも『自分がおるぞ!』という気持ちで準備している。勝ち上がると、絶対に登板する機会はあるので、前田だけじゃないところを見せたい」と意気込む。
久しぶりの甲子園のマウンドに向け、南投手の準備は万全だ。(岡純太郎)