沖縄尚学の玉那覇、「直球仕留めた」2点適時打 憧れはWBC選手
(25日、第95回記念選抜高校野球大会2回戦 沖縄尚学3―1クラーク国際)
予感があった。
1回戦の大垣日大戦で7番だった打順が、3番に上がった。沖縄尚学の玉那覇世生(せお)がこのことを知ったのは、甲子園に着いて先発メンバーが発表されてから。でも、「可能性はあるなと思っていました」。
1回戦の第2打席で左飛を打った時にいい感覚をつかんだという。「体を開かず、自分のポイントで打てた」。それから練習でも調子は上向きだった。
「やってやるぞという思いでした」
一回に中前安打を放ち、気が楽になった。三回1死一、二塁。左打席のホームベース寄りぎりぎりに立ち、右横手のクラーク国際・新岡歩輝(あゆき)に対し、内角を投げづらくさせる。
「低めを捨てて直球を一発で仕留める」。
狙い通り、外角直球を振り抜いた。左中間を破る先制の2点二塁打。3番起用に見事に応えた。
身長172センチ、体重76キロ。好きな野球選手は同じ左打者で、身長も同じぐらいの吉田正尚(レッドソックス)だ。「きれいなスイング、打球の速さ」に憧れ、動画でフォームを研究している。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の大活躍に刺激を受け、静かに闘志を燃やしていた。
元々打力はあり、昨秋は中軸を打っていた。
1回戦で7番に下げたことについて、比嘉公也監督は「持っているものはいいけど、本番に弱い」と辛口ながら「あの左中間の一本で変わってほしい。あの打球をこれからの成長につなげてほしい」と期待を込める。
本人は、7番降格に発奮したかと問われると、「どの打順でも自分の役割を果たすだけです」と控えめ。だが、その後、本音ものぞかせた。
「やっぱり3番がいいです。一回に打順が回ってくるのはうれしい」
名前は「世界に生まれる」と書いて「世生(せお)」。「世界のように大きい人間になってほしい」との願いが込められているという。甲子園という世界で大きな活躍を示し、自信がついた。(編集委員・稲崎航一)