東邦、きょう高松商と対戦 勝てば選抜勝利数で全国最多タイ58勝に
第95回記念選抜高校野球大会に出場する東邦(愛知)は25日、2回戦で昨秋の四国地区大会で準優勝した高松商(香川)と対戦する。東邦は高松商に勝てば、選抜大会で通算58勝となり、同じ愛知勢の中京大中京と並んで最多となる。
高松商は、昨夏の甲子園でも登板した左腕のエース大室亮満投手(3年)がおり、187センチの長身から鋭い直球を投げ下ろす。つなぐ打線も持ち味だ。東邦の石川瑛貴(てるき)主将(3年)は「部の先輩から最多勝利の話は聞くが、自分たちはあまり気にせず、目の前の一球に集中したい」と話す。
試合開始予定は午前11時半。
■「こんな偶然あるんだって」 父と同じ背番号11をつけ、戦う息子
古豪の東邦(愛知)には、同校野球部で父がつけていた背番号と同じ「11」を背負い、プレーする選手がいる。内野手の三家拓翔(さんかたくと)選手(3年)。北海道で生まれ育った。だが、父の転勤もあり、偶然が重なって、父の母校に進学し、後を追うように野球部に入部した。
「びっくりしました。メンバー発表後に知って。こんな偶然あるんだって」
父の正裕さん(43)はそう話す。1996年の選抜大会に背番号11をつけて内野手で出場した。前年秋の予選ではベンチ入りしていなかったが、冬の間に実力を伸ばした。「高校の公式戦デビューが甲子園だった」。甲子園では2回戦で敗退したが、安打も放った。
大学までは愛知県に住んでいたが、社会人野球をするために北海道へ。東邦とは縁が切れたかのように見えた。しかし、「拓翔が中学の時に大阪に転勤になって。ちょうど2019年春の東邦の甲子園優勝を一緒に見に行けた。転勤がなかったら今はないかもしれない」と振り返る。
ただ、実力的には東邦でプレーするのは無理だと父は思っていた。最初に息子を東邦の練習に連れていったとき、入部は無理だとあきらめさせるためだったという。それでも三家選手は気持ちを前面に出したプレーと力で、甲子園のベンチ入りをつかんだ。
「父さんから(親子で甲子園は)小さい時からの夢だったと言われていた。背番号が一緒というのも大会前に知ったんで、余計に頑張らないといけない」。三家選手は言う。
1回戦は代走で出場し、ホームも踏んだ。「父さんと同じ舞台に立てるのはうれしい」と三家選手。
今は仕事のため、北海道に単身で暮らす正裕さんは「本当にドラマというか、感動した。次も、どんな形でもいいので勝利に貢献してほしい」。(土井良典)