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あこがれの兄と一緒に戦った 城東・森本主将がつけた白いグローブ

2023年3月23日17時40分

朝日新聞DIGITAL

 (22日、第95回記念選抜高校野球大会2回戦 東海大菅生5―2徳島・城東)

 打席に入る前、左手、右手の順で白いバッティンググローブをつける。いつものルーティンだ。

 「ユウト、見てるか」。城東の森本凱斗(かいと)主将(3年)は心でつぶやく。グローブは兄の夢叶(ゆうと)さん(20)の思いも詰まっている。

 この日、森本選手は2打席目に左前安打を放って出塁。別の打席では2四死球も得て、好機をつくった。何度もスタンドが沸いた。

 兄も城東のOBで二塁手として活躍した。2019年、秋季四国地区大会で1勝。翌年の選抜大会の21世紀枠の候補校に選ばれた。だが、結果は落選。新型コロナウイルスの影響で春夏の甲子園は中止され、兄の夢は道半ばで絶たれた。

 森本選手にとって、兄はあこがれの存在だ。どんなことにもアドバイスをくれる。森本選手はそんな兄を追う形で城東に進学した。肩の強さが認められ、1年秋から捕手としてレギュラーの座をつかんだ。

 チームは昨秋の県大会で4強入りし、2度目の21世紀枠の候補校に選ばれた。今回は、甲子園出場が決まった。

 「これで新しいバッティンググローブを買ったらどうだ」。3月上旬、大阪体育大学で野球を続ける兄が、森本選手にお金を手渡した。少しでも力になりたかったし、一緒に戦いたかったからだ。森本選手は新しいグローブを買い、「ユウトの分もプレーするぞ」と誓った。

 この日、兄はアルプス席で試合を見守った。「甲子園で思う存分プレーしている。うらやましい気持ちも少しあるけど」と、メガホン片手に声援を送り続けた。

 2時間2分の激闘は敗戦で終わった。森本選手は「もらったグローブでヒットが打てた。ユウトには、『やってやったぞ』と言いたい」と笑顔をみせた。バッティンググローブは甲子園の土で真っ黒だった。(吉田博行、田中祐也)

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