「決め球だ」聞こえた相手捕手の声 狙った変化球、光の初勝利導いた
(22日、第95回記念選抜高校野球大会2回戦 山口・光2―0滋賀・彦根総合)
「楽にいけよー」
八回2死一、二塁でバッターボックスに向かう光(山口)の岡本一颯選手(3年)に、ベンチの声がはっきり聞こえた。四回は1死二塁で空振り三振、六回も1死二塁で左飛とチャンスに凡退。仲間から「めっちゃ力んでいた」と指摘されていた。
3ボール2ストライクのフルカウント。今度は相手捕手の「決め球だ」という声が聞こえた。
「ストレートはない。変化球を狙おう」。七回途中から継投した彦根総合の野下陽祐投手(3年)のスライダーに食らいつき、打球は二塁手のグラブをかすめて右前適時打となった。二塁走者の奥村拓真選手(3年)がホームインした瞬間、一塁ベース上でガッツポーズ。「見逃しでも、空振りでも、三振は相手に試合の流れを持って行かれる。とにかくバットに当てる気持ちで打ったヒットです」。升田早人主将(3年)は「チャンスで打つのはすごい。プレッシャーに負けないようにスイングしていて、頼りにしている」と振り返った。
彦根総合の先発は背番号1の左腕、野下投手でなく、右腕の勝田新一朗投手(3年)だった。岡本選手は左翼の守備位置から、三塁側ブルペンで投球練習をする野下投手を観察し、変化球の軌道はイメージできていた。
「甲子園で打てたのは自信になる。今日は70点。次の試合もチャンスで打って、打点を稼ぎたい」。甲子園2勝目へ闘志を燃やす。(大藤道矢)