身近だった大舞台に「わくわく」 龍谷大平安、決勝打の白石
(第95回記念選抜高校野球大会2回戦 京都・龍谷大平安4―3長崎日大)
身近にあったこのグラウンドをよく知っている。
2点を勝ち越された直後の七回。同点に追いつき、なお2死二塁。龍谷大平安の1番打者、白石力翔(りきと)は左打席に入った。
「みんながつないでくれた。自分が打つしかない」
低めの変化球に食らいつき、決勝の適時打を右前に運んだ。
兵庫県西宮市の出身だ。市内の小学校や中学校が参加する西宮市の体育大会の舞台は、阪神甲子園球場。学校対抗のリレーに出場し、グラウンドを駆け巡った。
高校野球の観戦でも何度も訪れた。龍谷大平安の試合を見る機会が多かった。真っ白なユニホームの胸に「HEIAN」の文字。あこがれを抱き、この古豪に進もうと決めた。
昨秋の公式戦の打率は4割6分9厘。好調な打撃で近畿大会4強入りに貢献した。
龍谷大平安にとって4年ぶりの甲子園。むろん、中学生のときとは空気も景色も違った。「緊張はあった。でも、甲子園でできるというわくわくする気持ちがあった」
決勝打だけではない。二回、中堅の守備では前方の飛球に果敢にチャージし、好捕した。
元気いっぱいにチームを引っ張った。(堤之剛)
○原田英彦監督(龍) 七回、2死から5連打で逆転。「重苦しい出足で非常に悪い展開だったけど、代打陣が安打を連ねてくれた。感謝です」