花巻東一家 監督の父、屈指のスラッガーの兄に負けじとがんばる妹
第24回全国高校女子硬式野球選抜大会が23日、埼玉県で開幕する。シード校として臨む花巻東(岩手)の二塁手・佐々木秋羽(しゅう)(2年)は野球一家に育った。
父は花巻東の男子硬式野球部の洋監督(47)、兄は世代屈指のスラッガーとして注目を浴びる麟太郎(3年)だ。
豪快なスイングとパワーあふれる打撃が持ち味の麟太郎とは対照的に、秋羽は俊足巧打が持ち味の1番打者だ。「出塁にこだわり、チームの流れを作っていきたい」と意気込む。
父と兄に影響を受け、小学2年のときに野球を始めた。
中学時代は兄と同じ「金ケ崎リトルシニア」で男子と一緒にプレーした。花巻東出身で大リーグで活躍する大谷翔平(エンゼルス)の父、徹さんが監督を務めるチームだ。
一方で、「走力をもっと鍛えたい」と中学校の陸上部にも所属した。3年の県総合体育大会では100メートル走で、13秒21を記録して4位に入った。
もともと父が監督を務める花巻東にあこがれを抱いていた。大谷がグレー地の胸に漢字で「花巻東」と入ったユニホームを着てプレーしていたころから、テレビの前で目を輝かせていた。実際に応援に行ったこともある。
その花巻東に女子硬式野球部ができたのは中学2年のとき。「このユニホームを着て野球がしたかった」と進学を決めた。
昨夏の全国選手権を終え、新チームになると1番・二塁手のレギュラーをつかんだ。
8月のユース大会で準優勝したが、個人的には悔いが残った。LINEで兄からアドバイスをもらったものの、決勝では2打数無安打に終わった。
「1番打者としての役割が果たせなかった。打撃技術も未熟で、パワーも足りていない」
この冬は、父が早く帰宅すると、トスを上げてもらい自宅でも打撃練習を続けた。スイングの軌道などでアドバイスをもらった。
花巻東を強豪に育て上げた父とそこで主将を務める兄を持つことで、周囲から目を向けられることが増えたと感じる。
「ありがたいけど、自分の実力は全然まだまだ。一人の選手として上達して、良い選手になりたいです」
選抜大会では24日、札幌新陽(北海道)と京都外大西の勝者と初戦を戦う。
兄には負けていられない。まずはこの春、チームのためにバットを振り、走る。(佐藤祐生)