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「日本一の投手」から奪った1点 敦賀気比・友田の祈り通じた打席

2023年3月20日20時00分

朝日新聞DIGITAL

 (20日、第95回記念選抜高校野球大会2回戦 大阪桐蔭3-1福井・敦賀気比)

 「何としてもつなぐ」。2点を追う四回表無死一塁。敦賀気比の6番・友田泰成選手(3年)はマウンドを見据えた。立ちはだかるのは、高校球界を代表する左腕と名高い、大阪桐蔭の前田悠伍投手(同)。この男を中学時代から知っている。

 友田選手は中学3年の時、地元の鯖江市にある「鯖江ボーイズ」の右翼手として県選抜チームに選ばれた。対戦した滋賀県選抜に前田投手がいた。直球のキレ、チェンジアップの曲がり方。打席で体感した前田投手は、どれも「うわさ通り」の迫力だった。

 高校でも対戦した。一昨年秋の明治神宮大会では1打席を三振に打ち取られ、手も足も出なかった。

 そして、今春、甲子園の初戦でぶつかった。お互いにチームは春夏通じて5季連続で甲子園に出場中だが、大阪桐蔭は昨春の王者。「ほとんどの人は桐蔭が勝つと思っている。日本一の投手から打って、予想をくつがえしてやる」。がぜん、燃えてきた。

 仲間たちと一緒に、「前田対策」として、左投手に角度を付けた球やチェンジアップを投げてもらい、イメージをつかんだ。

     ◇

 試合は三回裏、それまでよくしのいでいた敦賀気比の竹下海斗投手と中森昂捕手の2年生バッテリーに大阪桐蔭が牙をむく。2死からの3連打で2点を奪われた。

 このまま王者に流れを渡してしまうのか。

 直後の四回表が勝負だった。先頭の佐伯大優選手(3年)が相手の失策で出塁。友田選手に回った。

 5球目。内角に動いてきたチェンジアップにくらいついた。

 打球が三塁線へ。内野手が飛びつくのが見えた。「抜けろ、抜けろ」。球は外野に転がってヒットに。相手の投球動作と同時に走者がスタートするエンドランがかかっていた。相手の左翼手も打球をはじいていた。

 「かえれ!」。心の中で叫ぶと、佐伯選手が生還して1点をもぎとった。この時点では、試合は分からなくなった。

 だが、調子を上げていく前田投手に対して、敦賀気比はあと一本が出なかった。友田選手にとっても悔しい敗戦となった。ただ、自身も「日本一」と認める投手から1点をもぎとったことは大きな収穫だったという。今後についてこう語った。「自分を追い込んで『ここで打てなかったら負け』とプレッシャーを与えて練習し、チャンスで打てるようになって、またここに戻って来る」(マハール有仁州)

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