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大谷翔平も袖を通したユニホーム 女子新鋭の花巻東、東北に吉報を

2023年3月21日16時30分

朝日新聞DIGITAL

 23日に開幕する第24回全国高校女子硬式野球選抜大会にシード校として出場する花巻東(岩手)は、男子野球部に負けじと急速に力をつけている新鋭だ。昨年8月には創部わずか3年目で全国ユース大会で準優勝した。

 男子は大リーグで活躍する大谷翔平(エンゼルス)や菊池雄星(ブルージェイズ)らが輩出した東北屈指の強豪。

 その花巻東に女子硬式野球部が出来たのは、2020年4月。プレーの場がなく、やむなく男子の軟式野球部で練習していた女子選手がいたことや、「女子の野球部を作ってほしい」という声が学校に寄せられていたことから、立ち上がった。

 19年まで社会人野球のトヨタ自動車東日本を率い、都市対抗初出場にも導いた三鬼(みき)賢常(けんじょう)さん(61)を監督に招き、2年生3人、1年生10人でスタートした。

 東北の高校に女子硬式野球部ができるのは、クラーク記念国際仙台(宮城)に次いで2校目だった。

 できたばかりで、すぐに知名度が高まった。

 グレーを基調に胸には紫で「花巻東」の文字。大谷も袖を通した男子と同じユニホームに憧れを抱くなど、創部2年目には東北地方を中心に全国から30人を超える入部希望者が集まった。

 秋田県出身で4番打者の仙道結衣(3年)は「東北のチームから日本一をめざしたかった。有名な男子と同じユニホームなのは、『これを着ているからには強くないと』というモチベーションにつながっています」と話す。

 現在の部員は3年生35人、2年生25人の計60人で全国有数の大所帯だ。

 福岡県出身の平尾美空乃(みくの)(2年)は「こんなに女子がたくさんいる中で野球をするのは初めて。いろいろ相談もしやすいし、競争心もあおられます」。

 この人数の多さが強みの一つになっている。

 22年度に発足し、弘前学院聖愛(青森)や学法石川(福島)などが加盟する東北女子硬式野球連盟リーグに、花巻東は3チームに分かれて参加している。

 練習試合を組めない時には紅白戦を繰り返すなど実戦機会は多く、シーズン中は週に1回は試合を行ってきたという。

 試合を通じて、チーム内での競争に活気が出るのはもちろん、公式戦に出ていない1年生のうちから多くの実戦経験を積むことができる。

 「強いところと試合をやらないとうまくならない」と三鬼監督。

 練習試合は、金ケ崎リトルシニアなど主に県内の中学生チームと重ねた。投手の球速も打球速度も速い男子と戦うことで、技術だけでなく、劣勢でも諦めない姿勢も磨いてきた。

 金ケ崎リトルシニアの監督を務める大谷の父・徹さんは臨時で女子の指導に来てくれることもあるという。

 男子部とのつながりも大きい。合同で練習することもあるといい、エースの関口瑞生(みずき)(3年)は「足の動きが1歩目から違っていて、女子からしたら全員がお手本になる」。

 男子は春の選抜に4回、夏の全国選手権に10回、出場している。菊池を擁した2009年の選抜で準優勝し、夏も4強が2回あるが、頂点に立ったことはない。

 この点も後を追う女子部には刺激になっている。主将の武藤咲夢(さきむ)(3年)は「あれだけしっかりしている男子でも日本一には届いていないので、私たちは全然足りていない。もっと頑張らないといけない」と言う。

 新チームで迎えた昨夏のユース大会は、培った粘りを存分に発揮した。

 1回戦で21年夏の全国選手権準優勝の高知中央、準々決勝では選手権6度の優勝を誇る神村学園(鹿児島)を相手に、ともに延長八回タイブレークの末にサヨナラ勝ちした。

 準決勝の岡山学芸館戦も六回に2点差を追いつき、七回にサヨナラで決勝進出を決めた。

 決勝は神戸弘陵(兵庫)に0―5と完敗したものの、2度目の出場で準優勝した。

 21年の選手権、22年の選抜、選手権はいずれも3回戦敗退だったが、大きな飛躍を遂げた。

 ただ、残ったのは悔しさだ。「(神戸弘陵とは)走攻守の全てに差があった」と主将の武藤。仙道は「決勝まで行けたのは自信になったけど、そこまで行ったのなら相手を倒したかった。決勝という場で力が入り過ぎた」。

 選抜大会。花巻東は札幌新陽(北海道)―京都外大西の勝者と初戦を戦う。

 ユース大会の準優勝でシードとして臨む2回目の春。三鬼監督は「だいぶ力はついてきたと思う。この子たちが冬を越して、どれぐらい成長できたかを見たい」。

 昨夏、男子の全国選手権では仙台育英(宮城)が東北勢初の優勝を飾った。

 女子の選抜、選手権では東北勢の優勝はまだない。

 男子野球部よりも早く、再び東北に吉報を届けたい。(佐藤祐生)

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